月に舞う桜
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2019年11月18日(月) |
「安楽死の権利を持てば、生きやすくなる」(幡野広志さんインタビュー) |
2017年に多発性骨髄腫を発病して余命宣告を受け、スイスで安楽死の権利を得ている写真家・幡野広志さんのロングインタビュー全5回。 どの回も内容が濃くて読み応えがあるのだが、共感するところが特に多かったのが第3回だ。
「安楽死の権利を持てば、生きやすくなる」
死は取り返しの付かない事態ではあるけれど、ある種の救いでもあり、人生最大の逃げ道でもある。 いざとなれば自分の意思で生を終わらせることができる安心感は、希望だ。 ままならない生を続けていくには、逃げ道も救いも、希望も必要だ。
安楽死とは少し違う話になるが、私は中学時代、何かのきっかけで「そうか、いざとなったら死ねばいいんだ!」と気づいた。 それは、大きな発見だった。よく漫画にありがちな「電球がピカーン」のような、濃い霧の中に強い一筋の光が差すような、そんな感覚だった。 私はその大きな発見のおかげで、「助かった。これで生きていける」と思った。 (もっとも、もっと成長すると、私の身体機能で死ぬのはなかなか容易でないと気づいてしまい、絶望する羽目になるのだが)
人はみな、いつか死ぬ。それまで待てないなら、いざとなったら死ねばいい。 終わりは必ずある。だから、いまを生きていける。
「安楽死って、みんなちょっと誤解している。安楽死は、死ぬための最後の手段と思われているのですが、そうではなくて、安楽死の権利を持つことで生きている間の不安が解消されるんです。むしろそっちの方が効果としては、はるかに大きい。 これで、いつでも苦しまずに死ねるという安心感はすごく大きい。だからいまつらくても頑張ることができる。」
「難病の人や障害者の方が安楽死の同調圧力で死なされてしまうのではないかと反論された場合、安楽死を急進的に進めようとする人たちから、「じゃあそういう人に安楽死を認めなければいい」という再反論を生むでしょう。反論が簡単なんです。 この同調圧力に僕が疑問を感じるのは、障害者であれ精神疾患の人であれ、本当にその人たちが死を求めたときに、今度は生きることの同調圧力で苦しめられるということなんです。」
「安楽死の権利はみんなあった方がいいと思います。その権利を持つと、本当に生きやすくなるんです。「安楽死の権利を持ったから、明日死ぬわ」ではないんですよ。「安楽死の権利を持ったから、まだ頑張れる」という安心なんですよ。」
(すべて第3回より引用)
◆(1)「死を目の前にして、苦しんで死にたくないと思った」 https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hatano-2019-1
◆(2)鎮静は悪くない でもそれまでの苦痛に耐えられない https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hatano-2019-2
◆(3)誰のための、何のための安楽死? 反論や批判にどう答えるか https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hatano-2019-3
◆(4)「医者たちを焦らせたい」 安楽死なんてしなくてもいい社会に https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hatano-2019-4
◆(5)生きることも死ぬことも悪いことではない https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hatano-2019-5
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