月に舞う桜

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2018年08月02日(木) 入試と言えば

全くの別問題なのだけど、東京医科大が女子受験生の点数を一律に減点していた問題で思い出したから、ちょっと書いておく。

中学の成績は相対評価で、身体障害がある私は体育の成績がいつも5段階評価の2だった。
高校受験で、ほとんどの子は県立高を第一志望にし、併願推薦で私立高を一校受けていた。
併願推薦というのは「第一志望の県立が落ちたら必ずその私立高に入る」という条件で受けられる推薦枠で、一般入試より受かりやすい。ただ、内申点がかなり物を言うので、体育の成績で常に2が付いている私は併願推薦を受けられなかった。体育以外の成績は、問題なかった。

相対評価の普通校で、健常生徒のように体育実技ができない自分の成績が2であることも、それによって併願推薦が受けられないことも、当時は「仕方ない」と思っていた。
でも、いま考えると、これって結構ひどいことなんじゃないか。
女というだけで知らないところで減点され、男以上に点を取らないと夢の実現も能力の発揮も許されないのと、障害ゆえに体育実技ができないというだけで、他の生徒と同じ入口に立つことすら許されないのは、同じではないか。
そんなことを考えて、いまさら憤っても仕方ないのに、いまさら憤っている。

こうして憤る一方で、高校受験のとき嬉しいこともあった。

県立の結果が出るまで私立の入学手続きを待ってもらえるのだが、入学書類は先に受け取らなければならなかった。
取りに行ったとき、そこの先生が「お元気で」と言ってくれた。それが、とても嬉しかった。
その「お元気で」は、もう会うことはない、つまり私がその私立に入ることはないだろうという意味に取ることができた。私が第一志望の県立に合格することを願ってくれる一言だ、と感じた。
受験時の手応えから言うと、県立に受かるかどうかは正直微妙だと思っていたので、その「お元気で」に救われたし励まされたのだった。
(無事に県立に受かりました。)


それから、愛知県立大学の文化人類学者・亀井伸孝先生がこんなツイートをしている。

「公正さのために、ひとこと書いておきます。今回、女性に対する減点措置という、緩慢で陰湿な入学拒否が話題になりましたが。障害をもつ大学受験者に対しては、より直接的で明示的な入学、受験拒否が珍しくなかった。法的な措置がとられたのはわずか2年前であった。ということを思い起こしておきます」

●KAMEI Nobutaka @jinrui_nikki
https://twitter.com/jinrui_nikki/status/1025039973504835584


女子学生への差別に端を発し、こうして障害者への入学差別にも言及してくれる方がいるのはとても嬉しい。

私の大学受験は20年前なので今は違うかもしれないど、当時は受けたい大学一校一校に高校の先生が掛け合ってくれた。担任が私の障害内容や程度を説明し、学校生活を送るのに問題がないことを強調して、受験の許可が下りたのだった。
「受けてもいいけど入学後に配慮しない」と断言した大学もあった。
試験時間延長措置や試験中に何らの介助も受けないのに、何故かどこの大学も別室受験だった。上記の「配慮しない」と言った大学は、風邪を引いてて別室受験になった子と同室にさせられたな。
第一志望の大学は落ちたけど、進学した大学は、大教室が備え付けの椅子なので私のために机を一つ入れてくれたりと、いろいろと配慮してくれた。だから、第一志望に落ちてその大学に行ったのは、結果的には良かったと思う。


●東京医大、女子受験生を一律減点…合格者数抑制
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180801-00050116-yom-soci


桜井弓月 |TwitterFacebook


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