月に舞う桜

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2018年05月25日(金) 線路は続くけど、この対応は続いてほしくない

先日、ヘルパーさんと外出したときの話。

電車とホームに板を渡すために来た駅員さん(私を一瞥もせずヘルパーに向かって)「○○駅までですね?」

私「はい」

駅員(相変わらずヘルパーに向かって)「車掌に行き先をアナウンスしてもいいですか?」

私「はい」

駅員が私ではなく同行者(家族や友人、ヘルパーさん)に確認・質問するケースは何度も経験してきた。ただし、ある特定の一つの鉄道会社だけですが。まあ、どことは書かないけどな、どことは!

いち顧客としても、いち障害者としても、いち車椅子ユーザーとしても、こういった対応は非常に失礼だと感じる。
乗車介助の対象は同行者ではなく、車椅子ユーザーだ。にもかかわらず、その乗車介助に関する確認や質問を車椅子ユーザーではなく同行者に投げかけるのは、車椅子ユーザーを他の顧客と同等の「いち顧客」と見なしていない姿勢の表れであると感じるし、「車椅子ユーザーはコミュニケーションの相手ではない」というメッセージの発信でもある(駅員さんにその自覚や意図があるか否かにかかわらず)。

例えば、健常者らしき大人のAさんとBさんがいて、Aさんが券売機の場所を尋ねたとき、Aさんの存在をまるで無視して同行者のBさんだけを見て答える駅員がいるだろうか?

家族や友人と出掛けたときより、ヘルパーさんが一緒のときのほうがこういった対応を受けることが多い。これはもしかすると、「ヘルパーが同行しているから会話が難しい人かもしれない」との偏見を持たれている可能性がある(ヘルパーさんは名札を提げているので、第三者が見てもヘルパーだと認識しやすい)。
たしかに、中には障害特性上、コミュニケーションを取ることが難しい人もいる。
が、駅員が私に対し、そういった障害特性を持っているのではないかと思ったとしても、最初の質問に私が「はい」と答えた時点で、私と意思疎通が可能であることは容易に分かるはずだ。

さらに問題だと感じたのは、このとき、OJT中と思しき新人駅員さんが一緒に来ていたことだ。
先輩駅員の対応を鵜呑みにせず、自分の頭で考えることのできる新人さんなら、まだいい。でも、仕事を覚えるのに必死でじっくり立ち止まって考える余裕がなければ、疑問を持たずに間違ったお手本を吸収してしまうかもしれない。
こうして失礼な対応は次世代へと引き継がれ、失礼な駅員が再生産されていくのだろうかと危惧した。

さすがに新人研修でこの対応を見せるのは二重にまずいだろという思いもあって、鉄道会社に意見メールを送った。
そしたら、一応返事が来たんですけどね。
予想していたとはいえ、これがまあ本当にびっくりするぐらい通り一遍の、紋切り型の文面で。具体的なことなんて何も書いてなくて、駅員の対応への意見にはこの文面と決めてるんだろう、私が送った文を精読なんてしてないんだろうって感じの。
この鉄道会社は顧客と向き合う気も自社を改善していこうって気もないのだろう、という印象だけど、鉄道会社は「嫌だから使わない」ってことができないから困る。

いやほんと、私に関することを何で私じゃなくてわざわざ同行者に話しかけるんですかね?
人を人間と思ってないんですかね?
「駅員として」「職業人として」の以前に、人としてその態度どうなの? って話なんだけど、何なんですかね、ああいうの。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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