月に舞う桜
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組合に入っている女性社員が集まって、女子会があった。 場所が某チェーン居酒屋だったので、料理は取り立ててどうと言うことのないものだったけれど、そんな中でもデザートのアイスブリュレはなかなか美味だった。 クレームブリュレのプリンの部分が、アイスなんである。アイスだけど器は熱々で、もちろんアイスの表面には焼きカラメルが乗っている。だから、早く食べないと溶けてしまう。 アイスとカラメルの甘さはちょうど良いし、両方の食感がうまく口の中で合わさるのも好ましかった。アイスの冷え冷え感が、カラメルの熱で適度に和らいでいるところも。
女子会は、幹事さんが楽しい話をたくさん提供して盛り上げてくれた。おかげで、とても楽しいひとときだった。 なぜか、「私は実は人見知りするタイプなの!」というアピールをし合ったり。そして、互いに「えー、あなたは人見知りするようには見えないよー」と否定に走る。 いや、でも、私は本当に人見知りが激しいんですよ! いつも、新人が入るたびにめっちゃ緊張するんだから!
デザートも食べ終わってひとしきり盛り上がった頃、別の店で本社の人たちと飲んでいた課長が、ひょっこり顔を出した。 居酒屋の入り口が開いて課長の姿が見えた途端、それまで盛り上がっていた場がシーンと静まり返り、「何で来るの? 来なくていいのに!」と言いたげな視線を送った。が、その視線にもめげず、勝手にテーブルに入って来て、しばし雑談。 「俺の悪口でも言ってたんでしょ?」と言う課長に向かって、「いえ、話題にも上ってません」などと返して、いじめ倒す私たち。 「女子会って、怖えーな」とつぶやいて帰っていく課長。
こうやって、寄ってたかって冷たくあしらえるということは、それだけこちらが物を言いやすい課長だということだ。 今回の飲み会は勝手に集まった私的なものじゃなく、組合というオフィシャルな集まりだ。だから、課長も気になってちょこっと顔を出したようだ。これまでの課長なら、考えられないことだ。 いまの課長は、業務中も頻繁にフロアを見回って、社員とコミュニケーションを図ろうとしている。他の面でイラっと来る部分はあるけれど、社員を気にかけるという点では、いまのところは期待できる人なんじゃないだろうか。
何はともあれ、この女子会はなかなか楽しかったので、また開催してもらいたい。 今度は居酒屋じゃなく、もう少しイイお店にしましょうね、と幹事さんは言っていた。私も賛成だ。せっかく女子会やるなら、女子っぽいところへ行きたい。
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