月に舞う桜
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2008年10月25日(土) |
物思う秋、マロンの秋 |
火曜日。 午後3時、窓から見える空はのどかな色。 職場での私の席は、外に通じる出入口に一番近い。上司連中の席は、その出入口とは反対側の、廊下に通じるドア近辺にある。 ふと、何食わぬ顔でふらりと外に出て行っても、気づかれないのではないかと思った。のどかな空の下、30分くらい散歩か買い物に出てまた戻って来ても、何ら差し支えないのではないか、と。 それはもちろん、ただの妄想だった。でも、ただの妄想であるがゆえに、頭に浮かんだ変な考えはどんどん広がっていった。 各ブースは、人が立ったときの胸の位置より高いついたてに囲まれている。その狭い空間の中で、たとえ私が静かに泣いたり手首を切ったりしていても、静かに涙を拭き、傷を押さえれば、もしかすると誰も気づかないのかもしれない。 だとしたら、目の前で鳴る電話をただひたすら取り続けることが、ばかばかしくなった。 私、こんなところで何やってるんだろう。 猛烈に逃げ出したいわけではなかった。他に何かやりたいことがあるわけでも、自分にはもっと特別な使命があると思っているわけでもない。ただ、そこにいる意味があまりよく分からなかった。
今の所長は、無駄に朝早く来て夜遅くまでいる。なぜ「無駄に」かと言えば、仕事ではなく、朝は浅漬けを作ったり朝食を取ったりし、夜は自分でおでんを作って食べ、お酒まで持ち込んでいるのだ(一時期は共有戸棚の下に日本酒がしまわれていた)。 長時間社内にいるということは、それだけエアコンや照明の電気代がかかる。加えて、所長の個人的な冷蔵庫の電気代、余計な煮炊きのガス代も。 こんな安月給なのに、そんなことに経費を使われていたら、ばかばかしくなるってものだ。
水曜日は、有休を取っていた。 団地の前のちょっとした段差を解消するために、私の電動車椅子が通れるくらいの幅の板を置いてある。その板の上を、カマキリが歩いていた。 轢くと嫌なので、通り過ぎるのをじっと待った。カマキリの歩き方は、カマを振りかざす雄々しさと、ひょこひょことした足取りがアンバランスで、何ともユーモラスだ。昆虫はあまり好きではないけれど、その姿はかわいらしく思えた。
美容院へ行き、その帰りにauショップに寄って携帯を機種変した。 新しい携帯は、それまで使っていたものよりもかなり薄く、画面が大きい。そして、ついに私もワンセグデビューを果たした。ただし、携帯の画面でテレビを観るのはやはり目が疲れるので、あまり活躍しない機能と思われるが。
そうやって1日リフレッシュしたら、少し気分がマシになった。このタイミングで有休を取っておいて良かった。
金曜日。 会社帰りに同期の女性2人とご飯を食べた。 一度行ったことのあるお店で、とてもおいしかったマロンのロールケーキをまた食べようと心に決めていた。 が、「秋の季節プレート」なるメニューがかなり安い上に魅力的な内容だったので、あっさりそちらを注文。 茄子ときのこの和風パスタ、ポテトグラタン、サラダ、カボチャとさつまいものプディング。 デザートがついていたし、プレートを完食したら結構お腹いっぱいになっていたので、マロンケーキはテイクアウトすることにした。 で、今日のおやつに頂いた。うまかった、うん。
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