月に舞う桜

前日目次翌日


2008年05月24日(土) 束の間の、妄想

例えば仕事の休憩中、トイレやロッカー前で。例えば、夜、眠りに落ちる前のひととき。例えば、突然の雨を自室で眺めながら。
そういうとき、ふと、あの子たちはどうしているだろうか、と考える。
かわいいかわいい、私の娘や息子たち。

溢れ出すのは、言葉ではなく、世界。私の脳内で、ここではない別の世界が無限に広がってゆく。
そこには、彼らの生活があり、喜怒哀楽があり、出会いと別れがあり、感情があり、交わされた言葉があり、空があり風がある。

おとといの休憩時間、一匹の子犬の目に映る世界を想った。私の手を離れた今も幸福な日々を送っているはずの、彼と彼女。その二人の愛犬が見上げている空は、どんなだろう。
きっと、高く青く澄んでいて、平和に広がっているんだと思った。
子犬が見ている世界を描くには、どんな言葉がふさわしいだろう。

妄想は、そんなに長くは続かない。ほんの数分、あるいはほんの数秒で終わることもある。
でも、その短い妄想の時間は私に活力を与えて、現実の世界さえも鮮やかにする。

現実世界で生きていくエネルギーは、いろんな方法で補充できるんだ。


桜井弓月 |TwitterFacebook


My追加

© 2005 Sakurai Yuzuki