ときどきすべてを壊したくなるのは、月のせいだろうか、それとも人間の業だろうか。何の変哲もない、けれどもだからこそ強固に存在を主張する銀色の輪っか。アタシを属性で、それもわざわざカタカナの響きで呼ぶ無知な人間。いらないものはすべて壊れてしまえと、冷笑混じりに呪う。月に隠れた卑怯な場所で。
© 2005 Sakurai Yuzuki