月に舞う桜
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共通の敵がいることが分かって意気投合してしまったり、その敵を陰で罵り合ったり、ただそれだけの関係ならちっとも健全な絆じゃない。他人の醜悪は目につきやすいし、それを意気揚々とあげつらうことは時に異様な連帯感を生んでしまう。本当は、その行為自体が醜悪そのものなのに。 でも、こんな当たり前のことを私はときどき忘れる。そして、頭が冷えた頃にまた思い出しては自分に言い聞かせるんだ。 自分まで醜くなってはいけない。 誰かを醜くて下品だと思うなら、その人と同じ土俵に上がってはいけないんだ。それじゃあ、女がすたるでしょ。どうせ見下しているなら、何を見せられても余裕で構えていられるくらい美しい人間にならなくちゃ。 小さなことでイライラする毎日だけど、一番苛立ちを感じるのは、些細なことで内心イライラしている自分に対してなんだ。 ヘアメイクアーティストのIKKOが、「自分は完璧主義だから、他人のことも許せなくなってしまう」とテレビで言っていた。どうやら私も完璧主義者らしいから、他人を許せないのかな。 他人を真に許すって、難しいね。許しているようで、許せていない。
美しいものに触れたいと思った。 美しいものって、何だっけ。 今、私が求めている美しいものって、何なのだろう。
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