突発的残暑企画・「伊豆の踊り子」をラブコメとして読んでみる

2004年08月18日(水)

18日付けの日記ですが19日朝8時にぽちぽちと書いてます。こういうことを平気でやるから日記サイトってやつは信用がおけないですネ。しかし不眠不休で挑んでるわけではなく、しっかり7時間睡眠とってのこの時間ですよ!俺健康。

で、朝から暑さに耐えしのいでるわけですが、なぜかふと「伊豆の踊子」が脳裏をよぎりました。川端康成のアレですね。おかしいなあ夏の話だったっけ、と思って読み返してみましたが(短編なんでさっさと読めるんです)、とくに夏という表記はなし。むしろ「これから寒くなる」とか言ってるから秋口ですかね。柿食えとか言ってるし。

ではここでぷれはぶ・えふ残暑企画!「伊豆の踊子」はラブコメであるという暴論をまくしたててみましょう!わーどんぱふ(東京地方36度の予報に頭をやられつつ)

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どのへんがラブコメであるかを交えながら、全体のストーリーをかいつまんで紹介しましょう。

20歳の学生である主人公が伊豆を一人旅しておりまして、道中旅芸人の一団を見かけます。修善寺で見かけ、湯ケ島でまた偶然見かけ、「ふむならば明日は湯ケ野温泉あたりかな」と推測して足を運ばせたら大当たり。このへんストーカーのケがありますね。

そこで年の程17くらいに見える踊り子と出会い、「うわちょっとこの子俺の好みやん!どきどき」なんて思いつつ、うまいこと旅団の人間と仲良くなっちゃう主人公。行動派です。一緒についていくことになります。そしたらその踊り子(以下ヒロイン)たら、主人公が話し掛けると照れて真っ赤になりながらこくんと頷いたり、緊張しながらお茶出そうとしてこぼしちゃってキャーたいへんというドジッ子っぷり。これだけで人気投票10000票はカタいですね。

その後も、宿で一団が客の相手をしている夜、太鼓の音なんかを聞きながら、「あの子が今太鼓を叩いているのか」とわけもなく切なくなってみたりするわけですが、その次の日の朝、大浴場で旅団の男と話をしてると、ヒロインが飛び込んできちゃうわけですよ。読者サービスもバッチリ。そこで主人公は、ヒロインが実は14歳であることを知ります。「あーこの子はまだ子供なんだな、だから何の臆面もなく風呂に入っちゃうんだね」となるわけですよ。

ところがここから第二章(勝手に)。ぶっちゃけ14歳でもオッケイという主人公、ヒロインと二人きりで五目並べなんかしつつ、「二人きりだから、初めのうち彼女は遠くのほうから手を伸して石を下していたが、だんだんわれを忘れて一心に碁盤の上へ覆いかぶさって来た。不自然な程美しい黒髪が私の胸に触れそうになった」ですよ!これをラブコメと呼ばずしてなんと呼ばんや。

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まあそんなこんなでこの後も絶好のラブコメシーンがあるわけですが。「映画に連れてってね!」(意訳)とか名台詞なわけですが。最後には主人公が東京に帰らなきゃいけなくて、ヒロインと無言で見つめあいながら別れるわけですけどもね。

芥川でも直木でもない、ノーベル文学賞受賞作家の作品がラブコメですよ。今まで「PATはラブコメしか書けないから…」なんて言ってきたやつらはここらでひとつ反省すべきですよね。ノーベル賞狙っちゃいますよ!ノーベルラブコメ賞とか取っちゃいますよ!(受賞式で首を吊りたい)

というわけで、「この作品実はこんな風に読めるヨ」という、ぷれはぶ・えふ突発的残暑企画でした。全国の、夏休みの宿題に読書感想文が出てる中高生は参考にするとよいです。「伊豆の踊り子はラブコメだった」。新学期開始直後に職員室にご招待。まああくまで「一見とっつきにくい名作を読みやすく」ってつもりで書いてるので、関係者の方やファンの方などは本気で取らないでくださいね。ネタです。ネタです。(必死)

でもマガジンあたりでマンガ化したらけっこう売れそう。(墓穴)

あと同じ川端の「雪国」は青年誌系ラブコメ。(追い打ち)


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