祈りの街

2003年01月26日(日)

バイトから帰ろうとしたら雨が降っていて、
僕は余計にさみしくなった。



いつもと変わらない仲間と、いつもと変わらない仕事をし、
いつもと変わらない馬鹿話をして、
それで終わる、いつもどおりの日のはずだった。

「ねえPATくん、休憩室のインフォメーション見た?」
「や、まだ見てないですけど」
「社員のAさん、辞めるんだって」
「え?」
「1月いっぱいで」

それはあまりに唐突な話。
話を聞くと、「結婚準備のため」なのだそうだ。

社員のAさん。昨年8月にうちの店に配属されたから、
実質半年といったところか。あまりに短い。
さみしいっすね、とは呟いたものの、それでもここは笑顔で送らなければならない。

夏の日は自分も毎日のようにバイトで、
Aさんと打ち解けるのに対して時間はかからなかった。
ちょうどその頃は自分の環境が変わったばかり。
なんだかんだでちらりほらりとそのあたりの話もして。

そのAさんも、いなくなる。

ある日突然別れがやってくる。それはまるで、小学生の頃の転校のようで。
どうにもならないとはわかっているのだけど。

結局一度も一緒にお酒飲めませんでしたね。

傘も持たず自転車をこいで、そっと夜の街に呟いた。



自宅に置きっぱなしの、ずいぶん前Aさんに借りた傘のことを考えながら。(はよ返せよ)


ひとつ前の日記へ もくじへ  トップページへ ひとつ先の日記へ


この日記は「喫茶ぷれはぶ」内のコンテンツです。
マイエンピツへの追加はこちらから。