アングラ回転寿司

2002年10月01日(火)

「おい、まだ着かないのか」
「せかすな。もうすぐだよ」
「しかし久しぶりだな、お前と一緒にどっか行くってのも」
「面白い店を見つけたんでね。あぁ、そのカドの」
「和菓子屋?」
「の地下。そこの階段下ったところ。着いてきなよ」
「地下?」


「へい、いらっしゃい!」
「ういーす。おやっさんこんばんはー」
「何だこの店?」
「何だとか言うなよ」
「ハハハ。いいネタそろえてますよ」
「なんだ、回転寿司か。それもいいな… って何が面白いんだ」
「寿司じゃないよ。まぁ座って座って」
「ん。まあ腹減ったしー… とりあえず一皿」


 ・バイト先でハンバーグソースこぼして足に大やけど。


「…はっ?」
「おー、いいもんとったなぁ」
「ちょ、おいなんだこれ」
「ネタだよ」
「ネタ?」
「さっきおやっさんが言ったろ。いいネタそろってるって」
「…ネタ…」
「ハハハ、とはいえ最近はネタがうまく加工できなくてね」
「みたいですねー。ということは、今回ってる皿のネタは全部」
「そう、加工する時間がなかったりなんだったりで放置されてるネタさ」
「ダメじゃんおやっさん」
「ハハハ」
「笑うところじゃないんじゃ… コレは何、このネタをどうしろと」
「そこに調味料があるだろ。笑いとか痛みとか泣きとか。それで味付けするんだよ」
「…えーと… じゃあ、笑い。と泣きを少々…」


 バイト先。今日はえらい混み方だけど、なんか気分は絶好調!
 よーしがんばりますかーと気合いを入れたその矢先、
 ほっかほかのハンバーグソースを思いっきりこぼしたー!!
 あーうあう。せっかくの絶好調な気分が一気に絶不調だよ。トホホ〜イ(´Д`)



「…お前味付けヘタなー。味付け次第では結構なものになったろうに」
「うるせーよ!何が何やら!」
「さーて、じゃあ僕は」


 ・台風21号来襲!


「わ」
「なんかありきたりだな?」
「いじりにくいなー… ええとね、泣きを入れて…」


 台風がやってきました。戦後最大級。
 それでもレポート提出日は、変わらずやってきます。
 4限、日本文学基礎演習。W先生が待ってます。
 久しぶりに徹夜して、ふらふらな中登校!



 授業前に、休講掲示板をチェック。



 『4限 日本文学基礎演習』



「…とか、こんな」
「そりゃ先生もこの台風じゃ休講にしますよねー」
「頼むから事前連絡しろって感じだけどね」
「それにしても珍しいシメですよね。投げっぱなしジャーマンですかー」
「最近こういうの味わってなかったしね」
「…お前ら、いったい何の会話をしてんだ」
「あれ、さっきから箸が止まってるよ」
「箸。…箸なのか!?」
「ほらほら、取った取った」
「お、おう」


 ・村上春樹を読んでみました。


「えええ!?」
「ありゃー。おやっさん、このネタはまだ食べごろじゃないんじゃ」
「あれ。回ってました?しまったなあ」
「え、これをどう味付けしろと」
「まだ食べられるほどのネタじゃないんだよなあ。適当に味付けしてみ」
「適当って…」


 ムラムラ!村上春樹デビューを果たしましたゼ!
 今までW村上(春樹、龍)はロクに読んでなかったんだけどね!
 いやいややっぱりファンが多いだけのことはあるナ、なーんて☆
 ところでW村上とか書くと思い出すね、W浅野。僕は死にましぇーん!



「…適当すぎでしょ」
「お前が適当にっつったんだろ!」
「まだ食べごろじゃないですからねー…仕方ないですよ。もう少しあっためときますね」
「アハハ。おやっさーん、しっかりしてよー」
「ハハ。申し訳ない」
「笑うところなのか」
「あれ、あの二皿だけやけに目立ってる」
「お、さすが気付きましたか。挑戦します?」
「うん、じゃあ僕たちで一皿ずつやってみようかな」
「たち!?」
「おやっさん、じゃあそれお願い」
「俺の意向は!?」
「まあまあ。先にゆずるからさ。はいこれ」


 ・徹夜明けは、やっぱりいいことないです。


「…暗ぁ」
「これを味付けするのがお前の腕の見せ所だろ!」
「いやそう言われても… これはマジメにやったほうがいいんかな」
「あぁすいません、マジメな調味料は今切らしちゃってるんですよ」
「はぁ!?どーすんのさ!?笑うとこでも痛いとこでもないだろこれ」
「うーん、これならありますよ。あまりおすすめしませんが」
「え、おやっさんその調味料出すの」
「まぁ、一応」
「なんだなんだ?」
「調味料『独白』」
「ど、どくはく…」
「使う?」
「…笑いよりはまだマシだろ、たぶん。えーと。」


 ごめん。


「…これはネタじゃないでしょ」
「て言われてもなぁ!」
「まあ、『独白』自体、あまりネタとは合わない調味料ですからねえ」
「ったく。で、お前のネタは?」
「ん、僕の?」


 ・秋仕様にしようかしら。


「げげげ」
「アハハ、なかなか難しいのを取っちゃいましたね」
「うえ〜」
「ほらほら、人に文句言えるくらいだ、ちゃんと味付けしろよ」
「うーん… おやっさん、お酢」
「あいよ」
「酢?」


 雪が降る頃にはできるんじゃないでしょうか。


「こんな感じで」
「…なるほど、酢でシメたわけか」


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