* たいよう暦*
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2006年04月01日(土) 名前

むかあし、むかし。
私は自分のかわった名字がとってもいやだった。
宿泊予約やお店の予約の電話をかけても、必ず聞き返される。
銀行でも、お店でも、聞き返される。
友人宅に電話をかけても、聞き返される。
それゆえ夢は「ごくフツーの名字の人と結婚して、ごくフツーの名前になる」ことだった。

今日、婚姻届というものを出した。
書いているうちに、とっても自分の名前が”おしく”なった。
もう二度とこの名前が使えない。
もう二度と誰もこの名前で呼んでくれない。
今までの自分としての生き方を全部くつがえされるようで、新しい名前は慣れなくてすうすうして心もとなくて、なんとも言えない気持ちになった。

新しい名字、新しい名前にあこがれていたのが、うそみたい。
自分の名前がなくなったことが、悲しい。
新しい名前をすんなり受け入れられなかったことに、ちょっと驚きもあった。

自分の名前を何度か紙に書いて
「なくなっちゃったんだなあ〜」とうじうじしていたら横の人がひとこと。

「その名前はなくなるわけちゃうで。その名前があって、新しい名前があるんやで」

そっか、もう使えなくても、
もう誰も呼んでくれなくても、
私は私で、この名前はこの名前で。
なくなったわけじゃなくって、この名前があったからこそ新しい名前があるのかあ。

そう思うと、ちょっとうじうじした気持ちがどっかいった。
でも、まだちょっと寂しいけれど。
でも、ちょっと気持ちがかわって、新しい名前とも素直に仲良くできそうだ。
気持ちを切り替えてくれて、どうも、ありがと。
もう二度と誰も呼んでくれないフルネーム。
その名前にも、ありがと。



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