* たいよう暦*
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あの大きな地震の時。 我が家は神戸から離れていたこともあり、幸いたいした被害も受けませんでした。 その当時飼っていた猫のうちの一匹が地震に驚いて飛び出て行って、しばらく帰ってこなかったのが、被害といえば被害だったかもしれません。
名は「チチ」。 ミルク色にくろぶちの、牛柄猫でした。
地震の直後、オーストラリア人と電話で話す機会がありました。 もちろん、私のつたない英語で。 そして、時には両親とも教師で、中学生の時に数ヶ月日本にいた彼のつたない日本語で。
「大きな地震だったけど、ダイジョウブ?」 「はい、○○さんところは、マンションが傾いたけど、会社の避難所にいるから無事です」 「それはよかった。あなたのところは?」 「はい、うちはKOBEから離れているので、ダイジョウブ。」 「ほんとに?よかったね」 「でも、飼い猫のチチが地震にびっくりして家を飛び出して心配している」 「おお!それは大変!ほんとに?戻ってこないの?」 「そう。心配」 「きっと無事だよ。ダイジョウブ。」 「ありがとう」
その時は、気づかなかったのですが。 なまじっか、彼が片言の日本語を理解できるのが、その先の騒動の元になりました。
彼の口を通して、私の「チチ」ではなく「父」が家を飛び出し行方不明になったことになっていたのです。 現地では大騒ぎになりました。
たいそう驚き、心配してくれたみなさん。 翌日の昼前になって、やっと電話が私につながり、「’ちち’違い」だとわかり、ようやく一件落着。 あの時、遠い異国から、心配してくれたみんな。 「’ちち’違いで本当によかった」と 安堵の息とともに言ってくださったあたたかい心が忘れられません。
「’チチ’は’父’じゃなかったのね!ごめんね!僕が間違えたんだ!」 そうか。おかしいとは思ったんだよ。 猫が飛び出ただけで、あんなに驚くとは思ってもいなかったから。 「地震に驚いて父が飛び出て行方不明」 うん、確かにびっくりするなあ。
避難する人がいたり、けがした人がいた暗い地震の話題の中で、唯一の笑い話として、しばらく語られたこの話。 「やっぱり、彼が日本語の’父’という単語を知っていたのも誤解の原因だけど、私の英語力のなさも誤解の原因だよなあ」 と反省し、英語力アップを目標とした私。
あれから、何年もたちました。 でも、やっぱり英語力はついておらず、英語の書類とメールを前にうんうんうなっている私がいます。
ふむ。あの時の決心は、どこに行ってしまったのでしょう・・・? せっかく思い出したのですから、ちゃんと実行すると・・・しますか・・・?!
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