しろにじ創作倉庫



蝉の声

2007年08月23日(木)

二度と纏わぬ衣を脱いで
お前は夏に命を預けた
去年と同じ場所で 同じ姿で
一年だけの夏を生きる

降りしきる蝉時雨を
逃げるように背中で聞いた
汗で張り付いたシャツを突き抜けて
遠い日の記憶を呼び覚ます 蝉の声

ああ あの夏の日のお前の声と
夢見た未来は
すでに去ってしまったけれど
このときだけは
憂鬱な季節の断片を
静けさが切り取っていくようだ

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