2012年04月13日(金) |
■本からのお話紹介その7…「裁判官だってこんなことを言う」 |
今日も、本からのお話紹介です。 今日は、こんな本から。
「裁判官の爆笑お言葉集」
ただ、はっきりと言っておきますが、 爆笑するような言葉は、正直ないかな。 どちらかというと、
「そんなことも言うんだ!」 「もっと言ってやって〜」 「それは、変じゃない?」
って、感じの言葉が多いです。 そんな中から、3つほど紹介します。
(ここから引用P36〜37) (※《》はわかりやすくするために、 こちらで追加しています)
■耐震強度だけでなく、 「貧乏」も偽装していた
《裁判長の言葉》 「この前から聞いていると、 あなた、切迫感ないですよ」
《言葉が発せられた状況》
建築基準法(構造耐力)違反、 議院証言法(偽証)違反、 建築士法違反幇助(名義貸し)の 罪に問われた、 一級建築士/姉歯秀次に対する 被告人質問の中で。
《裁判長の名前》
東京地裁 川口政明裁判長
《裁判の状況》
門のランプが外れかかり、窓ガラスが割れたまま 放置されている姉歯宅の映像を見ていると、 本当に「生活費に困って」やってしまったのではないかと ついだまされそうになります。 何のことはない。 家にお金を入れていなかっただけなんですね。
最初は、借金がある中、 建築会社からの依頼をつなぎとめるため、 つい「悪魔の設計」に魂を売って しまったのでしょう。 ただ、借金を完済しても偽装を続け、 高級外車2台も購入。 その点を裁判長に問われ、
「ローンで買いました。 ローンで」
と、言い放った被告人。 そんなしゃあしゃあとした弁解が、 川口判事のハートに火をつけたのでした。
「フタを開ければ、 そんな贅沢をしている。 やっていることはデタラメ。 そんな発言では被害者も 関係者もみな怒りますよ。 あなたに深刻さがないと、 怒りのもっていきようが ないんですよ」
約30分間にわたり、 被害者に代わって、 怒りを爆発させたといいます。
(ここまで引用)
ひどい事件でした。 そうか、しゃあしゃあとしていたんだ、 などと、この本を読んでわかりました。 本当に、許せません!
30分語っても、被告人には、 響かないと思いますが、 もっと言ってやってほしいです。
(ここから引用P104〜105)
■「反省」の意味がわからない国語教師
《裁判長の言葉》 「立ち直らないといけないのは、 あなたでしょう。 国語の先生だったのに、 言葉を選べないのか」
《言葉が発せられた状況》
女子中学生の身体を触るなどし、 強制わいせつの罪に問われた 元中学校教諭が、 弁護人から反省の気持ちを尋ねられ、 「被害者がどうしたら 立ち直れるか考えたい」と、 答えたことに対し。
《裁判長の名前》
富山地裁 手崎政人裁判長
《裁判概略》
被害を受けた生徒は、 被告人の教え子ではなかったようです。 被害生徒は、その友達の中学生のことで、 「相談がある」と被告人に呼び出され、 某レジャー施設の駐車場に停めてあった 自動車内で、いきなり襲われました。
信頼していた教師に裏切られたショックに 打ちのめされながら、彼女は必死に抵抗します。 ふと我に返った被告人は、 自分で呼び出したくせに、 「家まで送る」などと恩を着せ、 犯行を口止め。
時間が表沙汰になると、 女子生徒の自宅の前で、
「ドア開けろ、 ばらしてんじゃねぇ!」
と、怒鳴り散らしたんだそうです。 こんなチンピラが、どうして教師になれたのか。 不思議です。
ちなみに、手崎判事は、 ある保育士に向けても、 法廷で説教なさったことがあります。
「子供が、2,3歳になれば、 泥棒は駄目だと教える。 そう教える立場の保育士が 泥棒やったらシャレに ならんでしょう。 あきれた事件だ」 (勤めていた保育園で、同僚のキャッシュカードを 盗んだ元保育士に向けて)
(ここまで引用)
(ここから引用P110〜111)
■よりによってこんな事件で、 身内を裁くとは…
《裁判長の言葉》 「言葉は悪いが、 単なるロリコン、 単なるスケベおやじ だったのではないか。 日本の司法の歴史の中で、 とんでもないことをしたというのは 分かってますな」
《言葉が発せられた状況》
児童買春、児童ポルノ 処罰法違反の罪に問われた、 東京地裁の現役裁判官(当時) 村木保裕に対する被告人質問で。
《裁判長の名前》
東京地裁 山室恵裁判長
《裁判概略》
「刑事裁判にプレッシャーを感じていた」 と供述していた村木元判事の裁判です。
土曜の昼下がり。 14歳の少女から電話で呼び出され、 JR川崎駅に普段着で出かけていった被告人。 そこへ近づいてきたのは、張り込み中の 警視庁捜査官で、彼のウキウキ気分は 一気に吹き飛びます。 少女は、すでに警察署で保護されており、 その供述や通話記録から、被告人の容疑が 浮上してきたのです。 署への任意同行を求められると、
「助けてくれ。 警察を呼んでくれ!」
と被告人がわめき出したので、 緊急逮捕に切り替えました。
しかし、取り調べで職業を明かされ、 驚いたのは署員の方。 半信半疑で、書類には、 「自称裁判官」と 記録されていたほどです。
伝言サービスでに 「小遣いをあげるので友達になりましょう」 などと吹き込み、年端もいかぬ少女と 会っていた被告人。
33歳の会社員と称し、偽名も使っています。 刑事裁判官なら、こういう手口は日々の職務で、 イヤというほど知り尽くしていたのでしょう。
「まさか、こんな事件で 裁判官を裁くとは 思っていなかったよ」
と、12期後輩の被告人に向けて つぶやいた山室判事。 しかし、裁判官を罷免されることは確実で、 実刑にするのは総合的にみて バランスを欠くとして、 判決では懲役刑に執行猶予がつけられました。
(ここまで引用)
ちなみに、
裁判官一人が一年間に 新たに受け持つ裁判の件数を 単純に平均すると、約129件 (2004年)
都市部の裁判官は、 常に300件以上の事件を抱えた状態で、 これが最高裁判所の判事になると、 手持ちの事件が数千件という、 壮絶な世界だそうです。
最後に書いた、村木被告は、 この壮絶な仕事の中で、 「プレッシャー」だったと、言ったのですね。 もっと違う、ストレス発散方法を 見つけられなかったのでしょうか。 お粗末です。
この本には、そのほか、 犯罪を犯した芸能人に対する言葉、 有名事件、ひどい事件の被告人に対しての言葉など 書かれており、興味深く読めますよ。 あ、爆笑はないですけどね(笑)
「裁判官の爆笑お言葉集」
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