まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2011年08月30日(火) ■東日本大震災「命の記録」からの紹介…「釜石の奇跡」子どもたちがとった行動

昨日から引き続き、↓ の本からの紹介です。


「明日へ―東日本大震災 命の記録」





私は、本を読みはじめると一気に読み終えることが、
多いのですが(専門書と文字の多い本は別ですが)
この本で紹介されている被災された方々のたくましさや辛さ、
また、取材記者さんたちの取材するときの気持ちなどが
迫ってきて、とても読め進められなく
何度も何度も中断しました。
そんな迫力がある本です。



今日は、特に、
「なんてすごいんだろう、子どもたち!」
と、感動し、思わず拍手して
そして泣いた話です。




今日紹介する話は、
岩手県にある市立釜石小学校の話です。

児童数200人ほどの学校ですが、
大地震が起きた午後2時46分、下校時間を過ぎ、
ほとんどの児童が学校の管理下外にあり、
子どもたちだけで遊んでいたそうです。

しかし、それにもかかわらず、
一人も犠牲になることなく全員が無事だったのです。
これは「釜石の奇跡」と言われています。
でも、もっと奇跡があったのです。
なぜ、そんな奇跡が起きたのか、想定外の大津波の中を
子どもたちがどう生き抜いたか、それを取材した話です。





岩手県釜石市
「大津波を生き抜いた184人の子どもたち」

(P64〜68から引用)



3月11日。
釜石小学校は学年末の短縮授業だったため、
子どもたちはいつより早めに下校していた。(略)
釜石小学校は高台にあり、
学校からは子どもたちが暮らす町の様子が
まざまざと見えた。

家、車、人、あらゆるものを飲み込んでいく大津波。
加藤孔子(こうこ)校長をはじめ
釜石小の誰もが
「子どもたちは無事なんだろうか」
と不安を隠せなかったという。



しかしこのとき、
184人の子どもたちは、
大人が予想しなかった行動を
とっていた。
親や先生に頼ることなく、
自らの判断でそれぞれに
避難していたのだ。




これまでにも釜石市はたびたび、
津波の被害を受けてきた。
しかし、内陸出身の先生が多いこともあり、
教育現場の危機意識は高いとはいえなかった。
これではいざというときに子どもの命は守れないと
市の教育委員会は8年ほど前から、
小中学校の防災教育に力を入れてきた。

専門家の指導のもと、精緻な避難マニュアルを作成。
沿岸部の小中学校は独自の避難訓練を進めた。

釜石小学校では、登下校時に津波がきたことを
想定して、先生と児童、地域住民、保護者などが、
一緒に歩きながら、安全な場所を確認するなど、
徹底して「逃げる」ことを学んできた。
こうした地道な防災訓練教育が
今回の大津波で生かされた。



揺れが収まった後、
海で遊んでいた子どもたちは、
仲間同士で相談して1番近い高台へと逃げた。

自宅にいた子どもたちは、
親の帰りを待つことなく
たった一人で避難した。

大津波が迫り来る中、
冷静に迅速に避難した子どもたち。
学校の管理下外にありながら、
児童は一人の犠牲もなく全員助かった。

子どもたちの行動は、
「釜石の奇跡」と言われている。





子どもたちが
見せた「奇跡」は、
それだけではなかった。





後日、先生たちが保護者などから
話を聞いたところ、
子どもたちは、自分の命だけでなく、
自分よりも幼い者、
弱い者の命も
守っていたことがわかった。



4年生の男の子は、
自分だけでなく
幼稚園の弟に防寒着を着せ、
しっかりと手をつないで、
走ったそうだ。

大きな揺れで
腰を抜かしたお年寄りを
助けてから、
高台に向かった女の子もいた。

学校の授業で
「50センチの津波でも
 人は足をすくわれる」
と習ったことを思い出し、
機転を利かせて弟とともに、
高台ではなく
家の屋上に上がった子や、
友だちをおぶって
逃げた子もいる。





「大活躍した子どもたちの中には、
 普段はのんびり屋だったり、
 おとなしい子も少なくありません。
 子どもたちのどこにこんな
 たくましさがあったんでしょうか。
 私たちは震災で大切なものを
 たくさん失いましたが、
 子どもたちが大きな希望を
 与えてくれました」




と加藤校長は話していた。
4月19日。
釜石小学校では、始業式が行われた。
式の中で子どもたちが歌った校歌の内容は、
今回の震災で聞いた言葉の中でも、
特別、心に残るものだった。

作家の故・井上ひさしさんが作詞したもので、
学校の名前や地域の名前がまったく出てこない
ちょっと変わった校歌だが、大震災の中で、
子どもたちの姿を象徴的に表していた。



しっかりつかむ
しっかりつかむ
まことの知恵を
しっかりつかむ
困ったときは
手を出して
ともだちの手を
しっかりつかむ
手を手をつないで、
しっかり生きる




多くの人々の生活を根こそぎ奪い去ってしまった大津波。
自然の猛威の前で、人間はあまりにも無力であるで
あらがうことなどできないのだと、
私たちは打ちのめされた。

しかし、あの日、
釜石小学校の子どもたちは
自分や弟妹、友だちの命を守り、
「想定外」の大災害を小さなからだで
見事に生き抜いていた。



どんな状況の中でも、
知恵を使い、手をつないで励まし合えば、
人は生き抜いていくことができる。
釜石小学校の子どもたちは、
そう教えてくれた。

(ここまで引用)



子どもたち、これからも、
生き抜いて行くでしょう。
しかもたくましく、やさしく、強く。

子どもたちに負けないよう、
大人たちがしっかりしなくちゃと、
弱音をはいてられないと強く思いました。


明日も、この本からの紹介になります。
とてもいい本ですので、
ぜひ、読んでみてくださいね。





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