2008年12月02日(火) |
名犬のお話…「どこでもついてくるプードル」 |
今日は、犬のお話です。 今日は、ちょっとかわいいお話。
今日のお話は、この本から。 「四本足の天使たち」 51匹のワンちゃんたちが登場します。
名犬や珍犬の話でいっぱいの本です。 名犬ラッシーの原点「ラッシー、帰る」 なども書かれていて、 犬好きさんにはおすすめの一冊です。
この本には、ぐっとくるようなお話も いっぱい書かれていますが、今日は、 思わず、
「ふふふ」
と、笑ってしまったお話にします。 人と犬の関係がほのかで、 まわりの情景が浮かんできて、 いいなぁと思ったので。
「どこでもついてくるプードル」 (248〜250Pから引用)
ルーシーは、私が旅行前の荷づくりをしているのを見ると、 手荷物用のカゴの中に四つんばいで入り込み、 大きな茶色の目でじろりと私を見る。 そうすることで、彼女は置いてけぼりを食わせないで、 と私に訴えているのだ。
何を隠そう、ルーシーは 白毛のミニ・プードルで、 私の愛犬なのだ。
彼女は置いてけぼりを食う心配などする必要はないのだ。 これまで7年間、何度も私に同伴して海外旅行に 出かけたことがあるのだから。
ギリシャにも、トルコにも、シリアにも、 インドネシアにさえも、彼女の名前を みんなが知っている町が幾つもあるくらいで、 そこの女どもは、指で私たちを指し、 子ども達はくすくす笑い、 大きな口ひげの男連中は 「やぁ、ルーシーちゃん」と声をかける。
そんな人さまの注目の的になる資格が こちらにあるわけではない。 私はルーシーの飼い主でしかないのだから。
とにかく、犬を連れての旅行で 目立たずにすませようとする方が、 どだい無理なのだ。
回教国では、犬は不浄なものと見られているので、 お呼びではないとのことだが、 これほど真実に反する見方はない。 ルーシーは私という大使の令夫人であり、 4本足で立つ縮れ毛の生き物ながら、 民間親善外交の象徴的存在なのだ。
フェリーボートの船長も、パスの運転手も、 ホテルの支配人も、皆、私たちのために 特別の席や部屋をとってくれ、給仕人は、 とっておきの珍味をルーシーに食べさせる、 といった具合で、時にはこういうサービス攻めに たじたじすることさえあった。
インドネシアではプードル犬は きわめて稀少なので、 ルーシーは人気者だった。
住民たちは感に堪えぬといった口調で 「バグズ、バグズ」(パグの意味らしい) と呼びかけ、半ばおそるおそる手を差し伸べるのだが、 身体に触れることはめったになかった。
ジャワ島中部にある由緒深いヨキジャカルタの町は 暑かったので、夕方になると私はホテルのプールに 飛び込んだ。
ご多分にもれず、ルーシーは、プール際を走って、 その端から端までぴたりと私の横について来た。 めざといルーシーの監視をくぐりぬけて 私がどこか逃げてしまうのではないか、 と、心配だったのだ。
何分かたつと、ルーシーはあまりに暑いので、 走るのはもうご免だと思ったのだろう。 さっと身を空中に躍らせて水の中に飛び込み、 私といっしょにプールを往復しはじめたのだ。
私はルーシーをプールの外に押し上げ、 叱りつけた。 木陰からこちらを眺めている人たちの 見え隠れする顔を意識せざるを得なかったからだ。
翌朝、 フロントの女性がこう訊いた。
「ゆうべプールで 泳いでいたのは、 お客様の犬ですか」
すっと血がひいていくのを 感じながら、私は正直に
「ええ、そうなんです…」
と答えた。
「お願いですから、 もう一度、 泳がせてください。 わたし、あれを みそこなってしまったので…」
(ダイアナ・コルダス) ここまで引用
感動するお話もいっぱいありましたが、 今日は、その中から、ほんわかとする話にしました。
余裕がないと、いらいらして、怒ったり、 ぶつぶつ愚痴っぽくなったりしがちですが、 動物たちのなにげない仕草に 心が満たされることがあります。 そんなとき…
「ああ、 そうだなぁ… 何か大事なこと、 私忘れているなぁ、 いろんなこと 考えすぎているんだな」
なんて、思います。 そして、そんなことを思い出させてくれる 動物たちがいとおしく思えます。
そんなことを、たくさん思い出させてくれる 一冊です。 機会があったら、読んでみてくださいね。
気軽にコメントが入れていただけます。
→「ぼちぼち、お散歩日記」
■「ことば探し」に戻る時→
「ことば探し」
■「ことば探し」メールマガジン(月〜金)発行しています。
「今日のことば」以外の過去のことばも紹介しています。
コンパクトで、読みやすい構成にしています。
→「購読申込み」
|