2006年11月16日(木) |
驚き!の酉の市。びっくりこ |
昨日からの続きです。
露店紹介も一息ついたので、 いよいよ今日は「飾り熊手」を紹介。
若かりし日に… 浅草の酉の市を見に行ったことがありましたが、 その印象はもうなく、今回の飾り熊手は、 本当に興味深く見てきました。
すごいですね、創りが。 もう、びっくりでした。
《飾り熊手編》
さてさて、私はいよいよ飾り熊手を売っている 奥のコーナーへ入った。
しかし、この中にいる販売員?は、 こういっては何だが… とても怖そうな方々ばかりである。 普通の感じの人なんて…ほとんどいない。 みんなちょっと怖そうなお兄さんやら、 おじさんたちばかりなのだ。
ちーと、 怖い雰囲気むんむんだ どきどき…
その人達が、さぁ、見ていってくれとばかりに、 「ねえさん、見てって」 と声をかけてくる。 熊手売場では、だいたい女性は、 ねえさんか、かあさんと呼びかけられるのだ。
私は、売場の雰囲気の物珍しさと、 飾り熊手の美しさとみごとさに見とれ、 ふらふらと奥へ奥へと進み、見事な熊手を見つけると、 写真を撮りながら見て回っていた。
もちろん、写真を撮るときには、 「写真撮ってもいいですか?」 とお願いするのだけど、だいたい気持ちよく 「おお、撮ってってくれ」 と怖いおじさんたちが言ってくれる。 それで、写真を撮っていると、 気軽に話しかけてきて、いろんなことを 教えてくれた。
そんな、熊手売場を見て回ると、 ひときわスゴイ見事な熊手を 売っているお店を見つけた。
すごいなぁ…
これって、どのくらいするんだろう…
私は、イスに座っていたおじさんに話しかけた。 ちょっと怖そうだけど、いちばん 手持ちぶさたそうだし、暇そうだ。
「あの〜聞いてもいいですか?」 「おおっ、なんだい?」 「あのね、この見事なスゴイ熊手、おいくらくらい するものなんですか?」 「おお、これかい?うん、いいだろう? これはね、いくらでもいいんだよ、 ご祝儀をもらえればね」 「えっ、ご祝儀でいくらでもいいの?」 「包みたいだけ包んでくれれば売るよ」 「そんなぁ…50万、100万とか包めばいいの?」 「そうだなぁ、気持ちだな…5万でもいいんだよ。」 「……うそぉ……」
どうやら、おじさんが言うには、 値段はないようでご祝儀相場らしい。 太っ腹である、5万でもいいって。 そんなワケないけど…
「しかし、これはすごい創りですよね… 完成するのに、どのくらいかかるのかしら?」 「オレは作り手じゃないから、わからないけど、 2ヶ月くらいはかけてるようだな…」 「あ、そうなんですか…」
「ほら、ここ見てみな。これは5円玉だよ。 この五重塔には、千枚以上は使われているよ。」 「あらら、本当だ、5円玉だ…」 「この細工をして、これを組み立てて、 全体をつくるから、時間はかかなるよな」 ねえさん、この舟の帆もみてくれや、 これもすごい細工なんだよ」 「あらぁ、すごいですね…」
〈五重塔熊手〉
〈五重塔が5円玉で出来ている〉
〈舟の帆が全部5円玉〉
この売場の熊手は、5円玉を使った見事なものが多かった。 手がかかっているなという感じ。 このおじさんは、その後もいろいろと教えてくれた。 いい熊手の見分け方とか、高い熊手は何が違うとか。
私は、おじさんに、 「メモを取ってもいいですか?」 と聞いて了解を取りメモをせっせと取った。
例えば、おかめの面などには、ドロ面とセル面があり、 ドロ面はてかてかしてなくて、和紙を何枚も 丁寧に重ねて手作りでつくるので、高いけど、 セル面というのは、てかてかしていて、 セルロイドを使っているので大量生産で、 安いものに使われているそうだ。 ドロ面の方が、高くて価値があるらしい。
そんな話をしていると、 後ろから、お兄さんから声がかかった。
「元締め、お客さんが来てます」 「おぅ…」
ひぇ〜
なんと、私は、この辺りの何店かを 取り仕切っている元締めに 話を聞いていたのだ。
知らなかった… 元締めだったのか、この人… どうりで、何もしてなかったはずだ…
ありゃ、まずかったかな…と思いながら、 元締めに教わったことをメモしていると、 元締めが私の側に来て、こう言った。
「お客さんが熊手買って、これから、 太鼓を叩いて縁起担ぎするから見て行きな。 うちはな、柏木?だけでなくて太鼓も鳴らすんだよ」 「はーい」
というわけで、私は元締めと一緒に、 縁起担ぎの輪に加わり、 怖そうなおにいさん達が威勢良く、
「スナック○○さんっ、来年のますますの商売繁盛を 祈って、末広がりの8回手締め行かせていただきますっ」 (たぶんこんなことを言っていたと思う)
という声にあわせて、みんなと一緒 三三七拍子を8回ほどやってきた。 すごい迫力で、楽しかった。
これが終わってから、私は、元締めに 「どうもありがとうございました」 と、お礼をして、その場を去ろうとした。
すると、なんと、
元締めがこう言ったのだ。
「おぅ、ねえさんよ、これ持ってきな。」 「えーーっ…」 「お、そうだ、○○、来年の干支の、 つまようじ入れもあったろ、あれも持ってこい」
と言って、なんと私に、
小さな熊手と、来年の干支のつまようじ入れを くれたのだ。 それがこれ。
ひぇ〜〜
びっくりこ。
「わぁ、いいんですか?もらっても? どうもありがとうございますっ」 いいのかホントに?と一瞬不安になったが、 せっかくなので、素直にもらうことにした。
すると、元締めはこう言った。
「こういうのをな、エビでタイを釣るって いうんだよ(笑)買うときには来なよ。 3の酉までやってるからな。 この辺りでは、うちがいちばん売るんだよ」
「へぇ、そうなんですか。うん、 買うときには絶対にここに来ます。 元締め、どうもありがとうございます」 とお礼を言って、私はこの売場を後にした。
しかし… 元締めに、いろいろ教えてもらった上に、 こんな熊手までもらってしまうとは… 嬉しかったけどね。
私は、タイにはならないと思うけど、 でも、1つくらいかっこいい熊手を 買ってもいいかな、という気になっていた。 元締めの所に行って、 いい熊手を選んでもらえばいいしね。
そうそう、熊手は、だんだん大きくしていくのが いいので、最初は小さいのからでいいんだって。 なるほどね、けっこう商売上手。
さて、ちょっとだけ熊手に詳しくなった私は、 また次々に違う熊手を見て回った。
怖そうなおにいさんやおじさんたちは、 思いの外親切で、本当にいろいろと 話を聞かせてくれた。 そのたびに、私は写真とメモを取っていた。
ある、売場のおじさんは、 「ねえさん、熊手研究会ってのがあるんだよ。 熊手に興味があるなら、勉強会に出てきな。 例えばな、熊手に使っている物の意味なんかを ちゃんと勉強するんだよ。 マスはますます商売繁盛とかな…、 鶴はもっと高く飛ぶとか、カメは万年だな…ははは」 などと教えてくれた。
そして、ひときわ大きな熊手を見つけ、 私はそれを「すごいな…」眺めた。 あまりに大きすぎて、写真に入りきらない。 これね、ちょっと見にくいけど。 横、1メートル60センチくらい 縦 1メートルくらい 奥行き70センチくらいかな?
これを支えるのに、大きな竹(直径15センチ)が 必要だという。わかりにくいが、太い竹が見える。
「おっきいですねぇ…」 「うん、70キロあるんだよ。」 「ひぇ、70キロも?」 「うん、創るのにたっぷり2ヶ月以上、 持ち上げるときに、男3人は必要だな」
「ひぇ〜、で、この熊手はどのくらいで、 どんな方々が買うんですか?」 「これは、大きな中華屋からの発注だね。 もう売れているんだよ。 価格は、まぁ、100万+ご祝儀だね。 だいたいは、大きな料亭とか、料理屋、 あとは、建築会社なんて多いかな」 「はぁ、これはもう売れているんだ…」 「うん、毎年頼まれるんだよ。」
てなわけで、この大きな熊手は、 受注発注であり、もう買い手もついているが、 縁起がいいので、御利益を振りまくために、 この時期だけは借りて飾っているのだそうだ。 だから「御利益が高い」って、 売場のおにいさんは言っていた。
そうそう、このくらいの熊手だと、 だいたい2万円くらいだって。 大きさは 横 50センチくらい 縦 40センチくらい
そんな熊手の話を、たっぷりと聞き、見て、 ほしい熊手もあったり… とても満足して帰ってきたのでした。 ああ、楽しかった。
今回、酉の市は3の酉までやっているので、 28日までやってます。 日にちと時間を確認して、もしよければ 酉の市行ってみてくださいね。見事ですよ。 あちこちでやってますよ。 詳細は↓ 「東京酉の市」 「関東酉の市」
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