2006年10月26日(木) |
びっくりな落としもの |
先日、用事があって、両国に行ってきた。 両国は、もちろん、お相撲さんの街である。 そして「ちゃんこ」の街でもある。 街を歩いていると、ときどき、お相撲さんに 出合うこともある。
この町に行くと、 こんなプレートがあったり、
こんなジャンボなお店があったりする。 おっきいパンツ…
そして、こんなPOPがついている。
すごいね、これ以上〜のサイズだなんて。 お店の中を外からのぞいてみると、 びっくりするようなジャンボな衣類が たくさんぶら下げてあった。
ほぅお…やっぱりジャンボだね。
しかし、今日の話はこのジャンボな話ではない。 実は、この両国からの帰りに 出合った、ちょっと謎な出来事のことである。
この日は、とても天気がよかったので、 用事が終わってから、歩けるところまで、 歩いて帰ろうと、てくてくと歩き始めた。 23区内だと、知らない道を、 めちゃくちゃに歩いても、何かしらの駅があるので、 私は、ただ行きたい方に、足の向く方に歩き、 疲れたら、その辺りにある駅から 電車に乗ればいいと思っていた。 どこからでも、何とか帰れるからね。
へぇ、こんなものがあるのね、だの、 あらら、こんな路地があるんだ、だの、 こんな店があるんだ、だの、 ひとりごとを言いながら、歩き続けていた。
そして、とある橋に差しかかったとき、 お巡りさんと、何人かの人が、 橋の上から川を見ているのを見つけた。
ややっ、これはなにかある。
私は、ぴんと来て駆けだした。
こんな時には、なにはともあれ、 参加してみることが大事である。
大急ぎで、その橋で、みんなが川を 見ているところに近づいた。 すると、お巡りさんも、みんなも、 じっとある1点を見つめている。
そこを見てみると…
何人かの人が、川にヒモを垂らして 何かしている。
あ、何か落としたんだ…
それで、ヒモを垂らして落としたものを、 引っかけて、引き上げようとしているのだ。 何だか、いろいろとやってるようだ。
これは、何を引き上げようとしているのか、 確かめる必要がある。 そこで、私は、お巡りさんにじわじわと 近寄り、一緒に川を見て、こう聞いた。
「何を落としたんですか?」
すると、お巡りさんは、 こう教えてくれた…
「あのね、スーツケース」 「えっ?」 「スーツケースだって…」 「えっ、なんですか?」 「なぜかはわからないけど…、 川に落としたらしいよ…」
というわけでは、川に落としたものが、 スーツケースであることが判明。
よーく見ると、川の下に、確かに 四角い白いものがぼんやり見える。 確かに落ちているのは間違いない。
そして、白いヒモの先に、U字の何かをつけて、 スーツケースの取っ手に引っかけて 吊り上げようとしている。 スーツケースを落とした?人たちは、 汗だくで、何度も何度もそれを試みていた。
しかし…なぜ… スーツケースを川に落としたか。
橋の上を歩いていて、 あっ、まちがって、落としちゃった… などというものではあるまい。
あっ、風に吹かれて落ちちゃった… などというものでもあるまい。
ふーむ、これは、何かある…
そう思いつつ、写真を撮ろうとしたら、 その人達に、 「撮らないでくださいっ」 などと言われたし… でも、遠くからこっそり撮ったけど…
ふーむ、やっぱりこれは何かある。
私は、再びお巡りさんの近くに にじり寄り、また聞いてみた。
「よくあるんですか?こういうこと?」 「いや、ないね、スーツケースは…」 「どうして落ちたんでしょうね」 「歩いていて、落としたって言って いるんだけどね…」 「落とすものなんですかね?」 「いや、今まで聞いたことないね」
そうだ、よくあったら変である。 何度もこんなことを見聞きしたら変だ。 スーツケースなんてそう簡単に落とすものではない。 しかも歩いていて… ましてや川に…
私は、一生懸命にスーツケースを 吊ろうとしている人たちをみて、 (男性3人、女性2人くらいいた)
これは、落ちたんじゃなくて、 放り落とされたのではないかと思った。
そこで、こう推理してみた。
きっと、痴話ゲンカか、何かで、 怒った女性が、男性の持っていたスーツケースを 川に放り込んだのではないか。
具体的に言うと、こうだ。 男性は、どこかに誰かと旅行に行った。 仕事だとかなんとかと理由を付けて。 しかし、それが、ウソで、実は、浮気相手と、 海外旅行に出かけていたのだ。 それが、妻か恋人にばれて、怒りに狂った 妻か恋人が、帰ってきた男性のスーツケースを 川の中に放り込んだのだ。
しかし、このスーツケースの中には、 本当に大切なものも入っていて、 大騒ぎになっているというわけだ。
たぶん、そうだな… 私はこれ以上のぴったりな 推理が浮かばなかったので、 このストーリーだと決定してみた。 ものすごく単純な推理だけど…
さて、 スーツケース吊り上げ現場である。
私が、橋の上からこの現場を見ていて、 すでに15分くらいたったが、何の進展もない。 いろいろと、道具を持ちだしているが、 気の毒だが、スーツケースは吊れない。 何度も何度も失敗している。
その時、その人たちが、大きな声で、 「舟を出してもらおう…」 と言い合っているのが聞こえてきた。 どうやら、舟の上からやってみるらしい。
どうなるのか、大変気にはなったが、 いつまでもいるわけにはいかないので、 心の中で、 「うまく吊れるといいね」と声をかけ、 最後まで見るのを諦めて帰ることにした。 お巡りさんの方を見ると、お巡りさんも 自転車に乗って、戻ろうとしていた。
その後、スーツケースは吊れたのか、 舟を出してもらえたのか、 どうなったのかは、わからない。
しかし、スーツケースを 歩いていて川に落としては、いかんな 痴話ゲンカをしても、川に放り込んではいかんな、 などと、心で思ったのでした。
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