まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2006年07月19日(水) いいのか…そんな話を大きな声でしていて…

今日は、4冊ほど目を通しておきたい本があったので、
午後からファミレスに行こうと思っていた。
本と、パソコンを抱えて、
午後2時20分頃にファミレスに行くと、
ランチの時間も終わり、席も空きはじめて、
窓際の明るい席も空いていた。


おっ、
今日はラッキーだね。
この席が空いているなんて…


私は、その席が好きなので、
とても嬉しかった。


しかし、この席…、
完全に失敗だった。




この席は、4人がけで、私は一人でゆったりと座り、
本とパソコンを取り出し広げた。
いいね、今日は…などと思いながら。

その隣に、もう一つの4人がけがあり、
おばさんが2人座っていて、
あんみつなど食べながらなにやら、話をしていた。


私は、本を読み始めた。


しばらくすると、隣の席に、
もう一人おばさんが加わったのだ。
これが悪夢の始まりだった。 



いきなり、バトルが始まった。
「あのね、これは受け取れないの!」
「なんで、どうして、こうして著名をもらっているし」
「これは写しだし、こんなこと書いちゃダメなのよ」
「これは、証拠になると思いますが…」
「ならないっ、これは受け取れない」


どうやら…遺産相続に関することらしかった。
最初からいた2人は姉妹、後から来たおばさんは、
遺産相続を仲介している人のようだった。
3人とも、60代だと思われる。
全く、たぶんだが…


かなり大きな声で…
3人が一斉にしゃべり始めた。



私は、じっと本を読んでいたが…
あまりの声の大きさと、
おばさん達の話の流れにいらいらして
だんだん、本に集中することができなってきた。

何しろ、3人が3人とも、
一気に一緒に話し始めるのだ。
そして…誰かが、
「私の話を黙って聞いてよ」
と言いだし、その声が一番強かった人が、
一人で話ができるのだが、
それも途中まで、途中から、
それはおかしい、それはまずい、
などと、2人がその話しに介入してくるのだ。
話は、ごちゃごちゃになり、声がどんどん大きくなる。
そして、誰かが、また、
「私の話を黙って聞いてよ」
を言うのだ。


私は、だんだんイライラしてきた。
もっと小さな声で話してほしい。
せめて、一人づつ話してほしい。 

しかし、3人のおばさんは、すっかり
この話題にのめり込み、回りの人の状況なんて
見えてないようだった。
もちろん、私の存在など、
見えているはずもない。
となりで本を読んでいるんだけどね。



そして、こんな話が聞こえてきた。
「これは、マサミ姉ちゃんがそうしたいと
 言ったから、書いたものなのっ。
 私はマサミ姉ちゃんの意志を尊重したいの」
「でも、これは、公証役場に持って行っても、
 何の効力もないのよ、かえってまずい事になる」
「どうして…だって、こうしたいと
 私たちは思っているのに」
「これは、公平性を欠いているし」


私はうるさくて本を読むどころでは
なくなってしまった。
聞きたくないが、
全部筒抜けで話が聞こえてくる。
ついに私は本を読むふりをしながら、
話しに耳を傾けた。仕方ない…

3人が3人とも違う話題を話しているので、
つなぎ合わせてもよくわからなかったけど、
どうやら、こんなことらしい。
恐らく…だが。


どうやら、今日の最初に来ていた2人は、
姉妹だが、この他、マサミ姉ちゃんと兄がいる。
そして、そのマサミ姉ちゃんと彼女たちの母は
一緒に暮らしているらしいが、その母はどうも
身体障害者指定を受けているらしい。

そして、このマサミ姉ちゃんと母の2人の生活は
かなり困窮していて、電話や、ガス、電気代など
止められることもあるらしい。
しかし、住んでいる家はあって、この家を売ればなんとか
なるのではないか、そして、その家を売ったお金を、
どうやら4人で分けたいらしい。

しかし、今、この家に住んでいるのは、
マサミ姉ちゃんと母で、だから、この姉ちゃんは、
1/2を受け取り、その1/2を残りの3人で
分けるというような感じだった。



しかし、全く違っているかもしれない…
何しろ、3人が話すことが全く方向が別々だし。
3人が考えている大切なことは
それぞれ全く違っているようだし。

しかし、何度も3人の主張を、
聞いているうちに、私はすっかり
3人の言いたいことを暗記してしまった。


私は、話を聞きながら、
「その話はもう3度目だわね」
だの、
「一人一人、話をした方がいいと思うよ」
とか、
「だから、それはさっきも聞いたって…」
などと、ぶつぶつ言っていた。



そんな同じ結論の出ない話を、
延々と続けているのだ。
この話の落としどころはどこになるのか…
「だから、今こうして話しあっているんじゃないの」
などと、誰かが言うが、
いっこうにまとまる気配を見せない。
しかも、話し合っているようには見えない。
端から見るとね。

私は、イライラしてきて、もう少しで、
「何度も何度も同じ話をしても、前に進まないと思うよ」
などと、アドバイスしてやるところだった。
かろうじて、自制心を保った。


しかし…
こんな大きな声で話していたら、
遺産相続も…筒抜けだろう。
いいのか、こんなに筒抜けで。



出し抜けに一人が、
「だから、聞いてってば…」と声を荒げた。
私は、また同じ話が始まると思って、
やれやれ…などと思っていると、
今度は、意外な話しになった。

それが、とても奇妙な話しだったのだ。
私にはどうでもいい話に思えたが、
なにやら、その話はとても重要な事らしかった。

「私も東京電力に電話したから間違いない」
「でも、私もしたのよ、新宿支社というところ。
 ほら、これが連絡先よ」
「でも、私もしたけど、そんなことは東京電力では
 しないって言っていたわよ」
「でも、これは確かな事だから…」


で、これがどんな話しかと言うと…


どうやら、今、困窮している
マサミ姉ちゃんと母の家で、
電気が止められて、その請求書に、
手書きで、「至急」と書いてあったと言うのだ。
この「至急」という字を誰が書いたか、
東京電力の人が書いたか書かなかったのか、
それを言い争っているのだ。

この話を、2人の姉妹がなぜか、
必死で話し合っているのだ。
そして、それぞれそれを確かめるために、
東京電力に両方で電話をしているのだ。


私は、思わず、
「手書きの至急の何がそんなに問題なのか?」
と聞きたくなったが、じっとしていた。 



3人は、この手書き至急の話を20分ほど
繰り返し話していたが、結局この話の深い意味は、
ついに、わからないままだった。
何がそれほど、大きな問題なのか…
わかったのは、このとき請求された金額は、
末の妹が払ったと言うことだけだった。


大いに余計なことだが…
そんな至急の手書き文字のことより、
家を売却した遺産をどうするかの方が、
重要なのではないか…
その生活の苦しいマサミ姉ちゃんと母をどう
救済するかの方が大事なのではないのか、
そう私は思うが…
こんなことより、こんな些細な出来事が重要なようで、
3人は盛り上がっている。



困ったことである。話が全然進まない。
私は、どんどんイライラしてきていた。
本も読めないし、仕事もできない…
結論も見えない…

そこで、ついに店を出ることにした。
今日は、5時までこのファミレスで仕事をする予定だったが、
4時で諦めた…


もう…だめだ。


3人は、まだ盛り上がり真っ最中で、
「これはダメよ」
「なぜ…どうして」
と相変わらず繰り返していた。

マサミ姉ちゃんとお母さんを大事にね…
と私は心で語りかけて席を立ったのでした。







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