暑くなってきたところで、少し涼しくなるお話を……
これは一昨日の朝、会社に行くときのお話です。
最近の僕は、7時半に家を出て、8時に会社につくようにしております。
まだ始業より早いとはいえ全く人通りがない時間でもありません。 僕の下宿の周りには企業も多いので、駅から下宿に向かって歩いてくる人たちの姿も見えます。
そんなわけで、僕が今日会社に向かうときも一人の会社員が道路の向こうから歩いてきました。
その人の顔を見て、僕の背筋に寒気が走りました。
そ の 人 に は 顔 が な か っ た の で す 。
目・鼻・口はもちろん髪も生えていません。 見間違いかと思ってじっくり見ましたが、やはり顔はありませんでした。つるりとした卵のような顔でてかてかと日光を照らし返しております。
しかし、顔を見て逃げるのも失礼だと思い、このまますれ違ってしまおうと僕は、そちらを見ないようにして足を前に進めました。
好奇心は何とやらを殺すとも申します。その時も僕はもう一度あの奇妙な顔見たさにすれ違いざまに、つい視線を向けてしまったのです。
すると、その人は
うつむけていた 坊 主 頭 を上げたのでした。
……ほーら、一瞬でサムくなったでしょう?
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