言の葉孝

2009年09月30日(水) ダブルクロス・リプレイシリーズ

 ちょいと、マニアックな話になります。
 ダブルクロス・リプレイシリーズにハマっております。とりあえず、今年の春からストライク⇒無印⇒トワイライト⇒アライブ⇒オリジンと読んでしまいました。

 リプレイというのは、小説とは違い、台詞回しはアドリブ、戦闘などはダイスなどによって判定するため、妙に現実的になってつまらないのではないかと思っていました。
 ところが、ある人に勧められたサイト、M∀D(http://mad-party.com/)のダブルクロスのリプレイを読んで非常に面白かったことから、プロの書いたダブルクロスのリプレイを読んでみたかったんです。
 でも、どの本屋さんにも置いていないんですよねー、マニアックな本だから。なのでつい、Amazonで買ってしまいました。

 TRPGダブルクロスのいいところは、現代世界を舞台にして(設定によっては違う場合もある)、日常の裏で非日常が繰り広げられることや、エフェクトを使った戦闘がとても緊迫感と迫力にあふれたものであることだと思います。
 アメコミでは使い古された感がありますが、やはり日常の裏で超人的な力を持ってしまった人たちが日常との共存に苦悩しながら戦うというのは燃えます。
 僕もこの世界設定で一度小説書いてみたいくらいですもの。

 一言ずつ各シリーズの感想を言わせていただくならば、

【ダブルクロス・リプレイ】
 よくわからないけれど、TRPG界では知らない者はいないらしい菊池たけし氏のGMによる作品。
 最初期のリプレイとあってか、戦闘やギミックは薄め。ただ、ラブコメ要素や、田中天氏演じる上月兄の破天荒さがものすごく笑えます。

【ダブルクロス・リプレイ・オリジン】
 ダブルクロスの生みの親・矢野俊策氏GMの作品。『成長』をテーマにしたストーリーが最初から最後まで一貫されており、完成度が高いという印象を受けました。
 最後のラスボスの仕掛けはルール的な裏付けもされているという、生みの親ならではのギミックの濃さも楽しい。また、全4巻構成で主役の二人以外は各巻で後退しており、キャラの多彩さ、とくに蓮見イサムと辰巳狛江のコミカルさは必見。

【ダブルクロス・リプレイ・トワイライト】
 他の作品とは一線を画し、第二次世界大戦直前の時代を舞台とする田中天氏GMの作品。
 この作品はとにかくストーリー演出が良かった。実際の過去を舞台としており、細かいところでその時代がかった描写がみてとれます。設定をしたGMもさることながら、それについていき、さらに知識をつけたして言ったプレイヤーには脱帽。
 また、田中天氏はプレイヤーとして知られた破天荒なキャラが敵キャラにそのまま反映されているので、敵のキャラが立っていることに関しては他シリーズを大きくしのぎます。

【ダブルクロス・リプレイ・アライブ】
 今まで普通だった女の子が、超人に覚醒するところからはじまる矢野俊策氏GMの作品。
 この作品は非常にギミックに凝っていました。敵を探して、戦うだけの物語ではなく、ただ敵を倒すだけでは解決しないことに関して、プレイヤーに答えを求めるという形が非常に強く出ています。
 あと、オリジンでも思った事なのですが、矢野氏の戦闘は、「手加減するのが大嫌い」という本人の信念から、容赦がなさ過ぎるところがあります。それでもいつもギリギリで勝利できているのが不思議なくらいです。(ダブルクロスでは一人だけロストされたキャラがいますが)
 その分だけ緊迫感の強い、戦闘の演出に自然となっております。

【ダブルクロス・リプレイ・ストライク】
 プレイヤーとしてもたびたびそれまでのシリーズで登場した小太刀右京氏
GMの作品。すでにたくさんバージョンが出ているダブルクロスの世界がマルチに交差するストーリー。
 いろいろな世界を交差させる物語というコンセプトがかなり無理があったのか、ストーリー性はあまり評価できません。シャルなど結局最後まであまり目立たないキャラになってしまいましたしね。
 ただ、田中天氏主人公(ただし一巻のみ)とあって、キャラが織りなすそれぞれのネタは面白いです。以蔵と勇のシンクロ率はかなり笑えます。


 ……というところでしょうか。さすがにプロの書くリプレイだけあって、あれだけ面白いと思っていたM∀Dのダブルクロス・リプレイにもかなりアラが見えるようになってしまいました。
 自分もこれくらい面白い世界観が作れたらいいのになぁ。

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想 詩拓 [MAIL] [HOMEPAGE]
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