なか杉こうの日記
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2005年04月18日(月) 記憶のメモ

なぜ山田洋次監督の映画が好きなのだろうか。と言っても私が見たのは
「男はつらいよ」シリーズ、「学校」シリーズ、それに西田敏行主演のいくつかに過ぎない。
「学校」シリーズは今思い出しても最高である。なんというのかなあ、「貧しき人々」を哀愁を込めて、そしてユーモラスに描くところ。ドストエフスキーの作品に通じるところがあると思う。
 「息子」でしたか、下町のまるで空気に金属の粉がまじっているような作業所。そこに勤める耳の聞こえない少女。その少女に恋をする青年。暑い暑い日の鉄骨の運搬作業。
 知恵遅れの人々。精神に障害を持つ人々。そしてそれを取り巻く人々、をやさしく描き出す。その描き方は決しておしつけがましくない。
 やはり、ドストエフスキーの書き方に似ている。たしか「貧しき人々」でドストエフスキーは、貧しい下級官吏が上司の前に出てあわてて、上着のボタンがコロリと取れて転がるところを描いている。あのぶざまで、悲しい姿。山田監督の映画になりそうである。
 それと同じ作品で、主人公が隣だったかに住む少女を窓からいつも眺めていたくだりがある。これは寅さん第一作で、ひろしさんが隣のさくらさんをいつも眺めていたというくだりにそっくりである。
 山田監督の初期の作品のDVDが今月末に第一弾として、いくつか売り出されるそうである。買おうと思う。たとえば、「下町の太陽」「故郷」「幸福の黄色いハンカチ」などなど。ところがうちにはDVDのデッキがないのである。買わなくてはならない・・・。



山田洋次監督は、満州で育ったそうだ。
彼の原風景というのは、日本の田畑や下町などの穏やかな景色ではなく、
車窓から眺める、どこまでも続く大地だったらしい。
これは気にとめておくべき重要なことに思われる。


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