読書記録

2020年07月25日(土) 罪の轍 / 奥田 英明

 戦後最大の誘拐事件といわれた吉延ちゃん事件がモチーフ。


継父から虐待を受けていた宇野寛治(20歳)は、当り屋をさせられていたせいもあって時々意識が飛んだ。それが原因で周囲から莫迦だと言われていて、何をしてもドジばかりで少年院をでてからもいとも簡単に空き巣を繰り返していた。
礼文島から命からがら脱出して東京に行き、たいした考えもなしに誘拐事件をおこし簡単に吉男ちゃんを殺害して身代金50万円を手にした。

捜査に当たった大学出の落合刑事、検察のトップや老練な大場刑事、いろいろな立場の人の関係も面白い。

山谷の旅館のしっかり娘である町井ミキ子やその母、弟も。

事件は東京オリンピック開催の前の年のお話。
今のように携帯電話もパソコンもない時代の捜査。
浮かび上がった宇野寛治が話した方言も、落合刑事が大学の剣道部の後輩を動員しての捜査。
身代金要求の電話の逆探知もできなかった。


とにかく面白かった。
本を読むのが遅い私が分厚い587ページを二日半で読み終えた。

それにしてもタイトルの ”罪の轍 ” 言いえて妙だと思った。



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