読書記録

2018年10月12日(金) 沙門空海 唐の国にて鬼と宴する / 夢枕 獏

 
巻1から4の長い長いお話。
映画は観ていない。
空海も凄いけれど、阿倍仲麻呂・白楽天・楊貴妃が登場するんだもの、スゴイわ。


空海とは
漠智と野性・上品と下品・聖と俗
様々なもの、時には互いに矛盾するものすらが、その矛盾を抱えたまま、
同じこの男の内部に同居しているようなのである。

歴史的に見れば、国際人という概念的衣装を日本人として一番最初に身にまとったのが空海であり、個人としてみれば、空海は、その国際人であることすらも超えていたように思われる。

世界を、今日的な感触を持った宇宙として捕え、自分という人間を、宇宙に対する個として捕えることのできる
抽象的な思考能力を、空海が持っていたのは明らかである。
華厳経から大日経に至り、空海は、宇宙の統一原理としての大日如来というものの存在を、すでに倭国において
知ってしまっている。
だからこそ、空海は、密教を求めて、この唐までやってきたのだ。


きっと、人というものの本心というのは、けしてひとつのものではなく、その時その時、違った本心を
持つものなのでしょう。ある時は本心であったものが、違う機会には別のものに変わってしまう…
さらに申せば、同じ時に、ふたつ、みっつ━幾つもの本心や矛盾する心を、人は持つこともできるのです。
ああ、人の心のなんと不思議なことでしょう。
(玄宗に仕える宦官・高力士が死ぬ間際阿倍仲麻呂に当てて残した書簡)








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