読書記録

2018年04月21日(土) 心にナイフをしのばせて/奥野 修司

 
 被害者家族の実情と言うか現状を書いた執念のルポルタージュ。
 
神戸で「酒鬼薔薇」事件が起こったのが1997年。
その28年前、そっくりな事件が東京近郊であった。
同級生を殺し、その首を切断した加害者は、当時15歳の少年。
未成年 ”少年A”として司法に守られて犯人は立派に更生し、なんと弁護士として成功をおさめていた。

一方、被害者の母は息子を失って廃人のように生き、妹は兄ではなく自分が死ねば良かったと思い、父は残された妻と娘を守るため自分を捨てて生きた。

被害者の少年の死から40年近く経ったいまも、残された家族は事件を重く引きずっている。
歳月は、遺族を癒さないのだ。
そして、犯人の父は、約束の賠償金をほとんど払わぬまま死亡。

事件の背景にはイジメがあったようだが、一見 平和に見えている日本社会が抱えている闇が書かれている。





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