熊野にまつわる伝説や神話・童話などが著者の目線で書かれた17編の短編集。 読みながら あれっ、これはだれの物語だったっけ、どこかで私も聞いたことがあるような、 これはどの伝説がベースになっているのかなと想像しながら楽しく読んだ。 どのお話も はっきりとしたオチがなくてなんだか切ない読後感が残った。
補陀落渡海など私が興味をもっていることもあったので、もう少し内容を深く掘り下げるというか、登場人物を濃く表現してほしかった。
作者は中上 健次 の長女。母も作家の紀和鏡、というから、熊野を舞台としたこういう物語はお手の物なのだろう。
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