読書記録

2003年10月15日(水) 美は乱調にあり        瀬戸内 晴美


 明治44年春 九州から上京、上野高等女学校に在学中の伊藤野枝は、新任教師の辻潤を知る。波乱の生涯のそれが始まりであった。潤との熱烈な恋、雷鳥平塚明子との交友、「青鞜社」への参加、そして社会主義者大杉栄との宿命的出会い、その妻としての凄惨な死・・・・・。激しい女の生命を乱調の美に彩った28歳の生涯を描く。
野枝は28歳(29歳・・)のみじかい生涯で、三人の夫と交渉をもち、七人の子を生み、かなりな作品をのこし、「青鞜」派やアナキズムの運動に加わって命を絶たれた。彼女の生涯はそれ自体で一個の時代的ドラマである。

美は乱調にある。諧調は偽りである。
              大杉 栄





愚劣で単調で平凡でケチケチした生活
夜の次には朝が来て
朝の次には昼が来るという決まりきった生活
キセキもおこらなければ、アバンチュールもない生活
もうあきあきだ
         





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