うさぎのつぶやき

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2006年01月10日(火) ◆雪

この冬、暖冬との予報を翻し、厳冬となってしまった。

普段はさ程にも積雪を記録しない地方の方達も驚かれているだろう。

大阪では殆ど雪が降らず、年に1度積もるか積もらないかという状況

なので、やはり雪が降るとなるととても嬉しい思いがする。

小学6年の時、殆どの子供が雪を見たことが無いという事で、トラック

に何杯かの雪をどこからか運んできて校庭に撒かれた事があった。

誰がそうしてくれたのか、わからないけれども、とにかく雪を見たのは

そのときが初めてだった。

突然の雪に皆、校庭に積み上げられた雪の山に走り寄って嬌声を発し

雪遊びを楽しんだ。

私は両手いっぱいの雪で大きな雪玉を作り、ハンカチに包んで担任の

先生のところへ走っていった。

「先生ッ!ちょっと家に帰ってきてもいいですか?」

「雪を・・・雪をお母さんにも見せたいから・・・。お母さんも多分雪を

見た事がないんです!!。」

今と違ってのんびりとした時代、

例えば忘れ物をしても許可をもらって取りに帰るなどという事は日常的

な事だった気がする。

給食が終わったあとなら良いというお許しをもらった私は慌てて給食を

食べ、改めて雪玉を作り大急ぎで家まで走り帰った。

「おかあさんッ!!ハァハァ!!」

勢い込んで走ってきた私を見て母は驚いた様子だった。

「どうしたのみどりちゃん?!」

「おかあさん、雪!雪!」

母にも見せたかったことを話すと、

「ありがとうッ!お母さんも初めて見たよ!すごいねッ」

そう言って両手を広げると大事そうにとても嬉しそうに、もうすでに解け

始めた雪をのせ眺めていた。

「もう帰るねッ」

そう言って再び学校に戻った私は、母にいい事をしてあげたという満足感

でいっぱいだった事を覚えている。


先日、実家に電話をしたのだが、用件が済み雑談も終えそれじゃァと電話

を切ろうとしたら

「みどりちゃん待って!まだ話したいことがあるの。」

と母。

「何〜?」と聞いていると

「この間ねッ雪が降ったの!すごかったよ〜♪積もったんやから〜」

声もうきうきしている。

「お父さんが明け方、指先が痛くて眠れなくてね、もう起きてしまおう

と、5時頃に新聞を取りに外へ出たんだって、そしたらもう一面雪で

覆われていて、慌てて私を起こしにきたんよ。おいおい!!雪や雪や

ってね。2センチ位は積もっていたよッ!!。凄いやろ」

「まァあんなに積もったの初めてやわ〜!!そっちは降らんかった?」

大阪は年末に一度吹雪いたけど今年に入ってからは全く降る気配がない

事を告げると

「そうね〜。宮崎もあの日だけやったけど、でもなんか嬉しかったァ〜」

「そのことを言いたかったの。」

「それじゃァ、風邪ひかないようにね。」

そういって電話は切れた。

ふと

遠い昔、ハンカチに包んで持ち帰った雪玉のことを思い出してしまった。



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