いやはや、棚から牡丹餅というかなんというか 幸運というのは思いがけず舞い込んでくるものなのですね。
行って参りました!テクノファンには説明不要、クラフトワークの来日ライブに!
実に六年ぶりの単独ライブとのことで、ああもうあれから六年経ったのか… と感慨深いものがありました。
先月は収入と支出のバランスがメチャクチャで、 とてもチケットに金を回す余裕は無く、当然完全に諦めていたのですが… 前日の夜、さて風呂に入ろうかと服を脱ぎ始めたその瞬間電話が鳴り… 受話器(言い回しが古いか)の向こうの声は大学の先輩で 「おい、クラフトワークのチケット一枚余ったから来い」 は?なんですと!? あまりにもいきなりで、何を言われたのか暫らく解らなかったのですが 状況を理解するや否やぶっ飛んで喜びました。
当日、並びながら少なからずネガティヴな思考はありました。 「どうせまた六年前と変わらないんだろうなあ」と。 しかし、そんな考えはすぐにぶっ飛んで行くことになるのでした。
会場は渋谷AX。オールスタンディングでした(六年前のブリッツの時もそうでした)。 開場時間になり、スピーカからはシンセの下降音が…… アナログっぽくない、少しFMっぽい感じのシーケンスがしばらく鳴り響き…… 突然ロボットヴォイスでイントロダクションが! 「ホイテ・ア〜ヴェント…なんたら…クラフトヴェ〜ルク…」 おお!来たか!(この流れは六年前と全く同じ。というか彼らの伝統?)
続いて名曲「MAN MACHINE」のヴォイスが 「マーンマシンマシンマシンマシン………」 と響き渡るや否や開場はヒートアップ! 幕が開きそこにいたのはロボットではない生身の四人が! 来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た来た!!!! さっきまでのネガティブな思考は一瞬で吹っ飛び、感動で涙腺が少し緩むのでした。
ステージは伝統のスタイル、後ろにスクリーン・手前に四人が横に並ぶものでした。 六年前と違うのは、後ろにあった膨大なラック機材群が無かったことと 四人が操作するものはノートパソコンだったこと。 ああ、時代の流れだなぁ……。 六年前は、それぞれが別々の機材をデスクに載せていたのに。
"ショー"は二時間きっかり続き、前半は過去の名曲+新曲が演奏されました。 「EXPO2000」が普通のトランスみたいになってたのは少し残念だったかも。 「放射能」はいつ聴いてもパワフルな曲。 アレンジが、前半がオリジナルに近く後半が「THE MIX」に近いという小技が憎い。 「AUTOBAHN」のある種間の抜けたほのぼの加減は非常に微笑ましかったです。 イントロの車のエンジン音、うまくエンジンがかからずに何度もかけなおして これまた憎い!思わず声を出して笑ってしまう。 ラルフも少しニヤリと笑っていたのが印象的でした。
後半一時間。実は後半の流れは六年前の前半の流れとほぼ同じ。 音ネタも全く同じ。でも許せてしまうから彼らはすごい。単に僕が信者なのでしょうが。 「NUMBERS」から「COMPUTERWELT」の流れはいつ聴いてもカッコイイ。 そして「電卓」!この曲は否応無しに最高に盛り上がる! オリジナルより若干テンポが速く、これまた高揚感を煽られました。 流暢な日本語で「ボクハ オンガッカ デンタァク カタテェニ」と歌うラルフ。 こちらも思わず一緒に歌ってしまう。もう最高。やばすぎ。 そしてそして「THE ROBOTS」!!! これはもう反則!なぜって、本人たちはステージにはおらず 変わりに四人に似せたロボットがステージに置かれ、 なんともギクシャクした踊りを見せるだけなのだから。 しかも、四人がステージにいないのに曲は演奏される。 ライブと銘打っておきながらこんなことをしてしまったら 普通のアーティストならブーイングの嵐でしょう。 しかし彼らはそれでも歓声を浴びる。なぜならクラフトワークだから。
最後はおなじみ「MUSIQUE NON STOP」。 曲の終盤で一人ずつ退場していくのですが フローリアン。まるで慌ててトイレに行くかのようにステージを去る。 しかも脇で日本式のお辞儀をしたのだが、動きがやはり慌てていて これまた思わず笑ってしまった。 続くヘニングとフリッツはエフェクトやフィルタの即興を聴かせた後、退場。 やはり日本式にお辞儀をしてくれた。 最後のラルフは、鍵盤で即興演奏をした後、退場するのだが…一言「サヨナーラ」と! なんてこった、日本語で挨拶ですか!やられた! 六年前に比べてサーヴィスしすぎですよ!素敵すぎ。
最後の最後は「ミュージック・ノンストップ」というロボットヴォイスが いつまでも会場内に響き渡りながら、彼らのショーは終わったのでした。
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