「嵐ヶ丘」/ 鬼束ちひろ
自分と 自分を取り巻く状況が どれだけ危ういバランスで 成っているのかを 知っているから。
そうしてそれは 考えて どうにかしようとして どうにかなる類のものじゃないから。
考えに考えた挙句 心が耐え切れず張り裂けて かえってマイナスの影響を 周りに与えてしまう事だけはしたくない。
だから今はできるだけ何も考えまい。
不安や苦しさをできるだけ一人のものとすることで 余計な言葉を吐き出さないことで タイセツナモノが守れるなら。
正しいか正しくないかじゃなくて わたしにはそうするしか思いつかない。
だから今のわたしに触れないでください。
生き抜くために 存在を持続させるために
無になる。
ゆうなぎ
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