ラヴ*パスポート



葉月アキラ、自由に生きてきた。色んな恋を、した。
やっと腹を括ったその先は、長男の、嫁。
騙したり騙されたりの日々から抜け出したワタシだけれど、果たして頑張れるのか?

結婚5年目に入った2013年12月、不妊治療の末、娘を授かりました。

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2005年12月02日(金)  ©  真相。


『晃、ごめん・・・ごめん、晃・・・俺、晃を裏切った・・・!』

ヒナに、そう言われたワタシ
”裏切った”と言う位だから、やはりワタシは浮気されていたのだろうか。
其処から何も言わないヒナに、語りかけた。

『裏切ったって如何言う事?』
ヒナは、うなだれたまま無言だった。
『ワタシ・・・浮気されてたって事・・・?』
ヒナは、首を横に振った。
『浮気よりも酷い事・・・・』

・・・浮気、では無い?
其れよりも酷い事って・・・何が有る?

『他に好きな子が出来たって事?』
『違う、違う・・・。』
『別れたいって・・・事?』
『嫌だ、別れたくない!離れたくないねん。』

意味が判らない。

『何を言ってるのか、何が言いたいのか解らないよ。』
そう言うとヒナは、ある方向を指差した。

其処には、ワタシのPC等が置いてある場所。

・・・・・まさか・・・日記を読まれた?
焦った。動揺した。
此の日記、そして裏日記には、秋クンとの1年が記録されている

『・・・・パソコン・・・?』
恐る恐る聞いたワタシに、ヒナは首を横に振った。

『え?パソコンじゃないの?』
もう、ワタシにはさっぱり解らない。



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嘘でしょう?
ワタシは、そう言う事が大嫌いで、ワタシも絶対そう言う事はしない、と
公言していたし、する人の気持ちが判らない と言っていた。
ヒナも俺もそう、晃と同じ。と言っていた・・・のに?

で、思った
成る程ね、と。

メールを見たって事でしょう・・・秋クンから送られて来たメールをね
だから、あんな質問。
でも、ワタシの携帯にはロックが掛かっている
・・・わざわざ解除番号を入れ・・・た?そう言う事だよね・・・?

勝手に見られた事に、怒りも特に湧かなかった。

『メールを見た、って事?』
ヒナは頷いた。
『あぁ、そう。』
ワタシは冷静、だった。

『で、感想は?』
『え?』戸惑うヒナ。
『読んだんでしょ?メール。言いたい事があるんじゃないの?』

『2通読んだ・・・動転して全部は覚えて無い・・・
 ・・・”誰よりも晃の事を愛してる自信がある”とか”全否定”とか・・・』

やっぱり秋クンからのメール、だった
2通読んだ、其の2通ともが、だ。

『あぁ・・・秋係長からのメールね?』
頷くヒナ。
『あと・・・”付き合ってた頃”って。』

ワタシは、ほぼ全部話した
言わなかった理由、言えなかった事情も話した。

ヒナの読んだメールは、ワタシが秋クンに気持ちは無いと言った日の事で
そんな事を言われて辛かった、とか全否定されたみたいだ、とか
つまり、ワタシは秋クンに気持ちが無いと断ってるメールだった。
ワタシと秋クンに対し、変な勘が働いて
ワタシの携帯を見たヒナは其の内容に安心したのだろう。

だから、昨日の朝の様な台詞が出たのだろうと、ワタシは思った。

ヒナは勘の鋭い人だ、霊感もあって。
今まで、北川氏の事もリウの事も当てられてきた。
如何して、秋クンの事には気付かないのだろう?と思っては居たけれど
やっぱり、結構前から思っていたらしい。
んん、侮れない。

ヒナは自分のした事を凄く悔いていた
自分のした事に対してのストレスで、血を吐くほど、吐いていた。

『自分のした事が許せへんかったし、晃の顔がまともに見れへんかった。』
『このまま黙ってれば、何もなく過ごせたかもしれんけど
 其れは出来へんかった・・・・自分に嫌気がさした。』
本当に悪かったとヒナは言ってくれたが
本当に悪いのはワタシ、だ。

ヒナにこんなマネをさせたのはワタシだ
秋クンの事を隠していたのもワタシ。

ワタシは、携帯を見られた事なんか如何でも良かったし
寧ろ、秋クンの事が話せて肩の荷が降りた様だった。
でも、あと2ヶ月ある会社での生活、秋クンとヒナの関係を考えたら
気分が悪くなった。

『今は何も無いから。』そう言うワタシに
『判ってる、見る前から其れは判ってたから。』とヒナは言った。

『話さなくてごめんね、如何しても言えなかった。』

そう言うワタシに、ヒナは
『お願いやから、晃は謝らんとって。晃は悪く無いから
 言えんかったのも、事情があったのも判ってるから
 お願いやから・・・・晃は謝らんとって・・・。』

そう言った。



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