綿霧岩
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「う」はどうも取り止めがありません。 すぐそばにいたと思ったら、果てしなく遠くに行っているような、 まるで魔性の女のように、一つ所に落ち着いていないのです。 私との距離が決定できない、同時にあらゆる場所にいるみたいな、量子力学的な存在、それが「う」です。
「う」ではじまる言葉は 「うちゅう」「うみ」「うま」「うし」「うんどうかい」「うきぶくろ」「うろこ」「うんこ」 などでしょうか。
「う」は「う」であるがゆえに、なかなかその内側を他人にさらけ出しはしません。 ものすごく小さな小さな針穴のような穴から、その中身は漏れ出ているのですが、なにせ小さな穴なので、たとえそれに気づいた者がいたとしても、その全体像は外からは決してわからないのです。
そのわからなさ、マジカルな存在感、ゆえに「う」の虜になる者も、不安を煽られ胸をかきむしる者もいるでしょう。 まさに「魔性の女」です。
でも、そんな取り止めのなさを決して怒ってはいけません。 なんといっても、それが「う」なのですから。
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