綿霧岩
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池に鴨が6羽、泳いでいるのを見た。
びっくりするくらいのゆっくりな時が流れていて、見ているうちに私の胸の奥のところが日常の中ではまず無い段階まで静まっていくのがわかった。
すごいな。
この胸の静けさを基準にしたら、そこそこ静まっていると思っていたその前の瞬間の自分の胸の奥のところは、断然、圧倒的にざわついていたのだった。 というか、普段の日常の中では、そこそこ落ち着いている自覚があるときでさえ、常に相当ざわついているんだなあと思った。 この鴨の泳ぐ姿に見入った自分の静まり方といったら!
鴨すごい。
鴨を見続けていたら、亀が1匹、2匹と現れ出して、どんどん増えてついには10匹になった。 亀は鴨より岸に近づいて、頭を水面から出して私を見たりしていた。 亀をじっと見てみたが、鴨の静けさは感じられなかった。 同じ水の中なのに、何がどう違うのか、亀のテンポは人間に近いのだろうか。 とにかく亀から静けさは特に感じられなかった。
とにかく言いたいのは鴨の泳ぎの静けさだ。
さらに、私はその何分か前、空をあまりにもかっこよく颯爽と飛んで水辺に着水したその6羽の鴨を目撃していたのだった。 飛ぶ鴨のスピードは速かった。 風に乗り速くて、水鳥とは思わなかったかっこよさだった。
すごいなあ。 あるがままでこのテンポの振れ幅よ。 こんなの見ちゃうと、人間はほんとにどんなに激してても精神統一してても、全然大した振れ幅じゃないじゃないかと思う。 ああ、あるがままだからこその振れ幅なのかな。
手放すこと、コントロールしようとしないこと、自然に委ねたら、何にだってなれる、しかも見る人を自由にする、そんなお手本を見た気がした。
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