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2003年03月11日(火):読書日記【三国志】by北方謙三 その6
ブラックだとか、腹黒いとか。
人を表現するコトバは数あれど、曹丕さまにはこのおコトバが一番です。
陰険。
荀イクは既に亡く曹操様もご臨終なさってすっかり寂しい魏の陣営ではありますが、曹丕さまと仲達の陰湿コンビのおかげでちっとも退屈いたしません。
この二人、思いつく限り陰湿な手段で曹丕さまの気にくわない相手を絶望の淵へと追いやりまくりです。
その陰湿加減と言ったら、そらもう、いっそすがすがしい程で、読んでいるウチに「次はどんな手段で相手をいたぶるのかしら?」と、楽しみになってくる程。
とりあえず現在のターゲットは以下の3人。
まず、後継者争いを演じた弟の曹植、事ある毎に曹操を殺そうとした帝、そして自分になびかない正室。
正室に関しては結局愛しているのに愛されない…。可愛さ余って憎さ100倍ってヤツだったみたいですが、男には容赦しません。
同腹のため殺すことが出来ない弟君は一枚ずつ衣を剥がすように力を奪い、生きながらの死に追いこもうとなさいます。
本心では殺したいようです。
そういえばパパも自分の死後、曹丕は曹植を殺すだろうと予測していらっしゃいました。
そして帝には自分の立場をわからせるために人間扱いを禁じます。
それから徐々に人に戻すことで、人であることの喜びを噛みしめさせようという魂胆。
ついでに手中の珠のように可愛がってらっしゃった二人の娘もご自分の側室に入れてしまうというなさりようは、もう、あんた悪魔や…!
この先、彼らはどんな嫌らしい方法で政敵を抹殺していくのか、考えただけでゾクゾクしてきます。
一方、蜀の麾下に入った錦馬超ですが。
以前、彼は投げやりになってしまった。と書きましたが、本当に「もう、いい」ようです。
曹操に対する恨み辛みもなく、かといってさしたる野望もなく。
思い起こすことはただ一つ、自分は静かに暮らしたかった。と。
漢中十部軍の筆頭にあげられたときも、自分のためじゃなくて、涼州の民・豪族のためだったんですね。
なのに全員に裏切られて(笑)、自分には何も残らなかった。
本当は一人で静かに暮らしかったのに、敢えてやった旗揚げだったのに。
彼、登場するたびに堂々巡りの思考に陥っています。
彼は今、自分がどうしたいのか、考えているような感じです。
どうやら北方の彼は早々に病死することはなさそうな予感。
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