先週の金曜、仕事から帰宅してパソコンを立ち上げた私は思わずきゃー!と声をあげてしまった。
今日はいやにメールが多いなあと思いながら開いていったら、あれにもこれにも「もしかして小町さん、オメデタですか?」と書かれてあったからである。
その日の朝更新したのは、「とれない責任(前編)」。「小町さん、どうして突然こんな話を?……ややっ!」となったみたい。けれどもこちらはそれが読み手にそんな想像をさせるとは露ほども思っていなかったため、イスから転げ落ちるくらい驚いた。
次の更新は週明けであるが、いますぐつづきをアップして「後編でオメデタ報告があるのでは……」と思っている人たちの早合点をなんとかしたい気分になった。
そういえば前にもこんなことがあったなと思い出したのは、六年前、結婚するのでと会社に退職を申し出たときのこと。噂はすぐに広がり、会う人ごとにおめでとうを言われたのであるが、そのとき少なからぬ人が「小町さん、できちゃったんだって?」と付け加えるので慌ててしまった。
「違いますよ!」とそのたび否定しながら、どうしたらそんなふうに話がねじ曲がるのかと閉口していたところ、営業部の同期から「部長が『企画の小町くん、オメデタだそうだ』とみんなの前で言っていた」という証言を入手。
なぬー、はた迷惑な勘違いをしてくれてえ!営業部は私の古巣だ。早々にクレームをつけに行かねば……と思っていたら、バンバンと背中を叩かれた。振り返ると、件の部長が立っている。
「おい聞いたぞ、オメデタやって?いつなんや」
「いつや、じゃないですよ!私、オメデタなんかじゃありませんっ」
「え?わしは九月末で結婚退職って聞いとるぞ」
「結婚と退職はしますけど、妊娠はしてません!部長が変なこと言うから、みんなにできちゃった結婚だと思われて困ってるんですよ」
「わしはそんなことは言ってない、ただ“オメデタ”って言っただけや」
「ですから、私はオメデタじゃないんですってば……」
どうも話が噛み合わないと思ったら。
部長の世代(六十過ぎ)の人はめでたい事柄にはなんでも「オメデタ」という言葉を使うのだとわかってびっくり。部長は「小町くんが結婚するそうだ」という意味で「小町くんがオメデタだ」と言ったのである。
しかし、多くの人はそう聞けば「妊娠」と解釈する。これにはまいった。
あのときは「結婚するんだって?」と誰かに言われるたび、この人も誤解しているのでは……が頭をよぎり、訊かれてもいないのに「何年かは夫婦水入らずでのんびりしようと思ってまして、ええ」なんてアピールしたっけ。
おっと、話がそれてしまいましたが、そんなわけで今日は声を大にして「オメデタではありません」報告でした。