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2006年09月04日(月) 2006夏旅行記〜船の中でなにするの?(2)

※ 「船の中でなにするの?(1)」はこちら

【 8:00PM 】
船の中での大きな楽しみのひとつが、食べること。カフェやレストランは深夜まで開いているし、船内での飲食は旅行代金に含まれているので(アルコール除く)、財布を気にしなくていいのだ。
さて夕食。これまで乗った船ではディナーをとるレストランは決まっていたが、「自由」を売りにしている今回の船はその日の気分でお好きなレストランにどうぞ、というスタイル。そんなわけで、白米恋しさで二晩も日本食の店に行ってしまった。
一軒目は寿司バー。右隣にいたアメリカ人らしき夫婦と年頃の娘が山のように握りを注文していたのだが、彼らが手を伸ばしている寿司桶に目をやってぎょっ。
そこにはシャリがずらーり。三人は全部ネタだけはがして食べていたのだ。
「そんならはじめから造りを注文せえ〜〜っ」
思わず心の中で突っ込む。それとも、酢飯の味がだめだったのだろうか。
かと思えば、私たちの左隣の人たちはガリをまるで一品料理のようにばりばり食べている。そんなにもりもり食べる種類のものではないんだけど……いや、好きならいくらでもどうぞなんだけど、あんなに大量に口に入れて辛くないのかな?
彼らにはこちら(注:音が出ます)でも見て、寿司の食べ方を勉強していただきましょう(だめ、だめ)。

しゃぶしゃぶを食べたときもおもしろかった。
先日の寿司は残念ながら「美味」とは言いがたかった。ぎゅうぎゅうに握っているので米粒がつぶれ、シャリがおはぎの餅のようだったのだ。しかし、しゃぶしゃぶだったら日本で食べるのと近いものが出てくるに違いない。だってむずかしいことはなにもない、材料を切るだけだもの。

……と考えた私が甘かった。
ナイフとフォークに加え、チーズフォンデュのときにパンを刺す長い串が並べられた。想像はついたけれど、一応どうやって使うのかと店員さんに尋ねたところ、彼女は玉ねぎの輪切りをぶすっと突き刺し、鍋の中で泳がせはじめた。なるほど、外国の人にとってしゃぶしゃぶはチーズフォンデュのイメージらしい。
「ねえ、しゃぶしゃぶに玉ねぎなんか入ってたっけ」
と夫。そういえばそうだわ、めずらしいものが入ってるのねえ。まあ、これはセロリ……。
コックさんは本物のしゃぶしゃぶを食べたことがないようだ。

しかし、もっともショックだったのは……。
「この胡麻だれ、変わった味がする」
夫の箸が止まっている。色には異状ないけど?と思いつつ舐めてみたら、「ピーナッツだれ」であった。

【 10:00PM 】
深夜まであちこちでイベントをしているので、部屋に戻りがてら寄り道をする。この時間一番盛り上がっているのは、ショーをしているシアターとカジノだ。
ある晩オークションをしている会場に入ろうとしたところ、係りの男性に呼び止められた。「十八歳以下はだめ」とある注意書きを示されたので、夫が「こう見えて、自分は三十四なのだ」と言ったのだけれど通してもらえず、男性は乗客名簿を引っぱり出してくる始末。ようやく本当だとわかると、「申し訳ない、でもまだ信じられない。だって二十歳にも見えないよ!」と目をぱちくり。
この旅行のあいだだけで、「新婚旅行か?」と三度も訊かれた。そんなに初々しいかしら、ウフフ……というわけではなくて、日本人は本当に幼く見えるみたいだ。

【 Midnight 】
部屋に戻ると、ベッドがナイトメイクされていて枕元にはチョコレートが。
これがミントチョコでなければうれしいのに……と船や海外のホテルに泊まるたび思う。外国人はこの歯磨き粉味のチョコが好きなんだろうか。


帰国してうれしかったのは、もうだめだろうと思っていたベランダの鉢植えが生きていたこと。それもすべてが!
葉も茎もすっかり干からび、本当にかわいそうなことをしたと思いながら何日か水をやりつづけていたら、なんと緑の葉が生えてきたのだ。
信じられない。この暑さの中、二週間も水をもらえなかったというのに……。
いまではすっかり元気を取り戻し、わが家の食卓をにぎわせてくれている(ししとうとなすびとミニトマトなのだ)。

長らく旅行記にお付き合いくださってありがとうございました。次回から通常営業です。