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2005年09月09日(金) 妻の友人との付き合いは面倒ですか?

友人のリクエストで出かけたしゃぶしゃぶの店で、「今度は小町ちゃんチですき焼きしようよ」と彼女が言った。
友人はひとり暮らしのため、鍋物を食べるチャンスが少ない。以前、旅先でお土産に買ってくれたきりたんぽをわざわざ自宅まで届けてくれたのは、彼女が人一倍親切だから・・・ではなくて、「そのかわり、きりたんぽ鍋をごちそうしてね」ということ。まったくちゃっかりしている。そんな彼女が私は好きである。

「ええよ、じゃあ豆腐と野菜用意して待ってるわ」
「・・・肉は?」
「えっ、まさかあなた、手ぶらで来るつもり?」

なんて冗談でひとしきり盛りあがったあと、彼女が「結婚してる子の家って行きにくいもんやけど、小町ちゃんとこは気兼ねせんでええからええわ」と言った。
うちには子どもがおらんからね、と返すと、「いや、子どもがいてもいなくても、行きやすいところは行きやすいし、行きにくいところは行きにくい」と彼女。新居に招いてほしいなあと思っている新婚の友人がいるのだが、なんだかんだと断られつづけているらしい。

「その子、家に人を呼ぶのがあんまり好きやないんやない?」
「そんなことはない。学生時代はよく彼女のアパート行ってたもん。たぶん、だんなさんがそういうのを嫌がる人なんやと思うねん。披露宴のときも新婦の友人席には寄りつかんかったし・・・」

「子どもの有無より夫がどういう人であるかが、訪問しやすさしにくさを決める」という彼女の言葉には頷ける。たしかに、妻の友人との付き合いを苦手とする男性はときどきいるようだ。
数年前、週末に同僚の女性のマンションに何人かで遊びに行ったときのこと。何時間も話し込み、そろそろおいとましようかと腰を浮かしたら、玄関のドアがバタンと音を立てた。
てっきり彼女の夫が帰ってきたのだと思ったら、「タバコかなんか買いに行ったみたい」と同僚が言ったものだからびっくり。私たちがリビングで話をしている間、彼はずっと別の部屋でテレビを見ていたらしい。
帰り道、みなで、
「家にいるなら、ふつう顔くらい見せない?」
「『いらっしゃい。どうぞごゆっくり』くらいは言うよね」
と言い合ったものだ。苦手なんだか面倒なんだか知らないけれど、こういう場面で顔を合わせないですませようとする男性は仕事や人生でなにか厄介なことが起こったときも同じやり方で、つまりそれとまともに向き合わずにやりすごそうとするのではないか・・・。そんなことまでつい考えてしまう。
そして、こういう夫を持つ女性の家にはやはり「だんなさんに悪いから行くのはもうよそう」ということになる。

ではわが家はと言うと、私は「土日は夫がいるから」という理由で友人の訪問を断ったことがない。
夫は妻の友人歓迎の人だ。親戚や親の友人など人の出入りの多い家に育ったためか、知らない人と会ったり場を共有したりすることを苦にしない。妻の友人が来るからといって用事を作って出かけたり別室にこもったりせず、一緒にテーブルに着いて話に混じり、楽しそうにしている。夫がこういう人であるのは、妻としては大変ありがたい。
新聞の人生相談欄で「定年退職した夫がずっと家にいるので、友だちを呼ぶこともできない」なんていうのを見かけることがあるが、とりあえずこういう不満は持たずにすみそうだ。


ところで、彼女は来週、A子さんという友人とその夫とで旅行に行くらしいのだが、少々驚いたのは三人が旅館でひとつの部屋に泊まると聞いたからだ。
男性がそれをかまわないとするのは理解できる。また、私の友人が「ふたりさえいいのなら」と同室をオッケーするのもまあ理解できる。旅館でひとりだけ別の部屋というのはかなりわびしい。
しかし、A子さんの心情は量りかねた。自分の友人とはいえ、夫がほかの女性の寝姿を目にすることに対して「ちょっとヤだな」という気持ちはまったくないのかなあ?と思ったのだ。

いろいろな友人と旅行をしてきたが、隣りでものすごくアクロバティックな態勢で寝ているのを見てぎょっとしたことは一度や二度ではない。寝相はそこまでひどくなかったとしても、浴衣は例外なくはだけまくって悲惨なことになっている。そういう生々しい姿を夫の目に入れるのは、私はかなり嫌である。
世の奥さんはどうなんだろう。「だって私の友だちだし」ということで、べつに気にならないのだろうか。

ちなみに、私が友人の立場だったら、よそのだんなさんと同じ部屋に泊まるのは遠慮したい。
すっぴんや寝起きの顔を見られるのはものすごく恥ずかしいし、寝るときもいくら「A子さん」を真ん中にしての川の字だといっても落ちつかない。宿泊先には旅館ではなくホテルを選び、一日たっぷり遊んだあとは「じゃあおやすみなさーい」とあいさつして、隣りの部屋に引きあげたい。
私って水くさいのかしら。