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2003年11月04日(火) 感謝を込めて。

前回の日記「忘れないよ。」には、いつになくたくさんのコメントをいただいた。
しかも一通を除きすべて男性からという、うちにしてはめずらしい事態。ふだんいただくメールは六対四くらいで女性からのものが多いのだ。
そこでふと思い出したのが、柴門ふみさんのエッセイ。何日は用事でどこそこまで行くから車を出してねと頼むと、夫は決まって「晴れたらな。雨が降ってたら歩いて行きなさい」と言う。愛車に泥靴の女子どもを乗せるのが嫌らしいが、いったいなんのための車だ。週末に車を磨きオートバイの手入れをするお父さんの姿はよく見かけるが、洗車したり自転車に油をさすお母さんはいない。車の類に抱くこうした愛着やこだわりは男性特有のものである------こんな内容であった。
なるほど、そうかもしれないと頷く。何人かの方が「車好きの私にとって、しみじみと胸を打たれるお話でした」「私も車には思い入れがあるので、手離すときの寂しさはよくわかります」と書いてくださっていたが、ホレたハレたの話を書いたときにこれだけの男性からこういう反応をもらえることはまずない。
もうひとつ驚いたことがある。
前回のテキストの中で、私は「うちの車はここが不便、あそこが不便」と書いたが、一部の方にはそれがそのまま車種絞り込みのヒントになったらしい。「ということは、○○ですね」といとも簡単にお当てになった方が五名もいたのだ。
こんな情報だけで車種を割り出せるものなのかと夫に尋ねたところ、「わかる人にはわかる」とのこと。こちら方面のことはちんぷんかんぷんの私は舌を巻いてしまった。
他にも、「△△かなあ?でも、百数十台集まれるほど走れるのが残っているとは考えにくいし……」とか「せめて排気量を教えて」とかいうのがあって、感心するやら笑えるやら。なかには夫宛てにクイズを出してきたチャレンジャーも。
「私が乗っていた車を当ててください。五十五年式の国産車でミッドシップの二シーター、ドアミラーは標準装備。さてなんでしょう」
ほどなく出張中の夫からメールが返ってきたが、見事に不正解。なんだかやたら悔しい。

そうそう、悔しいといえば、前々回の日記「私の知らない世界(ラブホテル編)」に届いたコメントにも、モニタの前で地団駄を踏まされたっけ。
しょっぱなから、「ラブホテルというその呼び方が古臭いです」とご指摘いただく。トホホ。いまはファッションホテル、ブティックホテル(ここまでは知っていた)、レジャーホテル、アミューズメントホテルなどというのだそうだ。
それにしてもみなさん、けっこうカジュアルに利用なさっているのね。おかげでいろいろと面白情報が集まったので、いくつかご紹介。

キングサイズのベッドに羽毛布団、四十インチ以上のテレビがあって、一流ホテル並にシェフがいて自慢の料理を出すところもあります。 【男性】


へええ、そんなところがふたりで一万円だなんて。よく採算が取れるもんだなあ。
それはともかくとして、「ときどき妻と気分転換に行ったりしますよ。なにをするわけじゃなくて、単にのんびりしに行くだけです」と釈明しておられたところが笑えました。私、まだなにも言ってないのに。

バブルの頃の渋谷のラブホには待合室にビリヤード台だのなんだのがあって、これからくんずほぐれつする男女が他のカップルと仲良くしてたり。 【男性】


これを読んで、余計な心配をしてしまうのは私だけであろうか。たとえば変に意気投合して、じゃ後でトレード……なんてことにならないのかしら、とか。はい、考えすぎですね。

ラブホテルはお互いの体を貪り合う空間でなければ、と思うわたしは古い人? 【女性】


こんなキョーレツなコメントをくださった方も約一名おられたけれど、これだけ館内、室内の設備が整っていると、ソレ以外の目的で利用するお客もちらほら。たとえば、

十五、六人で、会社の人の誕生祝いを一泊八万のパーティールームでやりました。 【女性】


やっぱりいた!!
私の知らない世界(シティホテル編)」を更新したときに、リッツ・カールトンのスイートでクリスマスパーティーをしたことがあるという方からメールをいただいたが、そうか、この手のホテルもやはりそういうシーンで利用されるのね。でも一泊八万ってえらく高くないですか。
しかし、私をさらに驚愕させたのがこれ。

ラブホテルに泊まる受験生もいるらしいですよ。普通のホテルがとれなかったからとか、安いからという理由らしいです。 【女性】


すごいな、泊まれればどこだっていいのか……。
こういう部屋に勉強ができるようなデスクがあるのだろうか。あったとしても、あんなところで最後の追い込みができるのだろうか。カラオケをしたり、ゲームをしたり、エッチなビデオを見たりして遊んでしまわないか。私ならそれらの誘惑に打ち勝つ自信はまったくない。



今月下旬にサイト開設三周年を迎える。そしてちょうどその頃、十万ヒットに到達する。読みに来てくださる方も増え、仲良しもたくさんできた。
「書くのが好き」だけではここまでは来られなかったのではないかと思う。どういうリアクションが返ってくるか楽しみ、というのがモチベーションを保つのに大きな貢献をしたことは間違いない。
毎回長文のテキストを読んでくれてありがとう。これからも(自分の)期待に応える文章を書いていきたいと思っていますので、どうぞよろしく。

【あとがき】
いっとき流行った「日記書きさんに100の質問」の中に、「読者からのメール1通をカウント数に換算するとしたらいくつ?」という問いがあったけれど、ものすごく大きな価値があることに間違いありません。なんの義務もメリットもないのに、手間暇と時間を費やして感想を送る……同じ「メールを書く」という行為でも、そこには「届いたメールに返信する」よりもずっと強い「それをしよう」という意思が働いているはず。書き手にとって、こんなにうれしくありがたいことはありません。