複雑になること、成長すること、成長しないこと

成長することは、複雑になることだ。

僕は大人になるのではなく、複雑になることで成長した。
大人ではない、ガキのまま複雑になった存在が自分の等身大の姿だった。

あきらめ、割り切り、自分を抑えることで成長はしない。
大人になることが、個性を抑え社会に適応する作業であるならば、
その人生にどれだけの意味があるだろう。

僕は、より複雑に、迷路のようになっていく自分の心を抱えながら、
二人分の人生を生きなければいけない。

大人になんかなってる暇はない。

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僕には親友がいた

僕らは同じ日に、同じ病院で生まれ、そして兄弟のように育てられた。

二人はモノ心つく前から、友達だった。

同じ乳母車に乗せられ、毎日を過ごす二人は血のつながっていない双子だった。
運命に決められたように、友情ははじまった。

成長して、思春期を迎えても、お互いの友情は変わらなかった。

僕らはお互いのことを何でも話し合うことができたし、
互いに親身になって答えを探すことができた。

お互いが自分と違う部分を敬意を持って認め合うことができたし、
そのことが二人の絆をより強くしていた。

お互いの絆は永遠のものに思えたし、お互いが近くにいることは当たり前のことだった。

しかし、この世の中にずっと続くものなんて存在しないことを知ることになる。

終わりは、必ず訪れるし、その時期を決めることなんて誰にもできはしない。

高校に進学した最初の年に二人のうちの一人が命を失う。

自らの手によって。
2005年11月25日(金)

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