うららか雑記帳
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| 2008年04月12日(土) |
遙か3プレイレポNo.21:鵯越と涙 |
『移りゆく 雲に嵐の声すなり 散るか正木の 葛城の山』
冒頭で後白河院が口にした和歌です。出典を調べてみたら、作者は飛鳥井(藤原)雅経という鎌倉時代前期の公家で、新古今和歌集の撰者でもあるのだそうな。 歌の意味は『葛城山を見わたせば、嵐に吹かれ、雲が移動してゆく。その雲の中から、激しい風の音が聞えてくる。この嵐で、美しく紅葉していた正木の葛は、散るのであろうか』。 風雲急を告げる時代の風に吹かれ、揚羽蝶(平家)はどこへ流されてゆくのか。それとも策謀の網に捕らえられ、ここで散ってしまうのか──というように、偽りの和議に起因する不穏な雲行きを現しているのでしょうね。 ちなみに、この飛鳥井雅経の父親にあたる頼経という人は、歴史上、源義経と関わりがあったようです。源義経との親交に責を負って安房国に流され、後にゆるされて帰京しますが、今度は伊豆に流されてしまったのだとか。十代だった雅経は処分を免れたのですが、京を去って鎌倉に下向した、とのこと。 さらにちなみに、ヒノエ君が間章で、吉野の里のさびれた様子を見て「『ふるさと寒く 衣うつなり』って感じだね」と言いましたが、これも出典は飛鳥井雅経の歌でした。『み吉野の 山の秋風 小夜(さよ)ふけて ふるさと寒く 衣うつなり』が元ですね。調べて初めて知りましたよ、こういうの。 遙か3は随所に漢詩や和歌、神話とか歴史ネタが盛り込まれていて、そういうところも色々チェックしていくと楽しいです。 ゲームとは関係ないですが、吉野といえば桜が有名。一度は行ってみたい土地だなあ。
熊野から戻った一行のもとへ、1周目と同じように北条政子が卑劣な命令を携えてやって来ました。 偽りの和議。 まったくもって承伏しかねる命令なのですが、どうやらこの流れは変えられないようですね。九郎さんの苦渋の表情が胸に痛いです。 頼朝の人でなしー!
一方、平家側。 還内府こと将臣君をはじめ、一族の主立った面々が一連の情勢について相談していました。
還内府:一ノ谷の防備を固めろ 二位ノ尼:それでは事を構える気だと思われてしまうのでは? 知盛:いっそ使者を斬ってそのまま京へ攻め上がってもいいぜ 経正:和議はどうなるのです? 忠度:平家の正面の陣は生田、生田の陣容を充実させるべきだろう!
あらら、揉めてる揉めてる。 不意に持ち上がった和議の話に対して、誰もが期待と警戒が入り混じったような複雑な思いを抱いているのでしょう。 中でも、将臣君はひときわ懐疑的な態度でした。彼が元いた世界の歴史では、平家は一ノ谷で義経の奇襲を受け、西へ西へと敗走しています。やがて行き着く先は平家滅亡の地・壇ノ浦──。 そのことが頭にあるから、将臣君は防備を固めることを主張するのですね。吉野の里を守れなかったことも影響しているのかもしれません。 意見がまとまる気配はなかったのですが、そこへ怨霊となって黄泉帰った平清盛が現れまして、彼の鶴の一声で将臣君の考えが尊重されることになりました。 清盛……ラスボス的な存在なのでしょうけれども、童子姿のせいか衣装のせいか、ファンシーな妖精さんのように見えるんで困ります。可愛いじゃないかー(笑)
平家を奇襲する決心をしかねている間、今度はヒノエ君とお話しました。 1周目は九郎さんを選んだけど、ここでヒノエ君とお話をすると、京に彼のアジトがあることを教えてくれるんですよね。 それにヒノエ君ってシビアな物の見方をするから、いま置かれている状況について一歩下がった冷静な意見をくれそうです。 ヒノエ君いわく、「政子は頼朝が信頼しているたった一人の人間」。うーむ。九郎さんが聞いたらショックだぞ、これは。 源氏の総大将・源頼朝。その正室・北条政子……。冷徹な頼朝がただ一人だけ信を置く者、か。政子が終盤のキィになりそうな予感。
それにしても、熊野の人間であるヒノエ君が、どうしてそんなことを知っているのでしょうか。鎌倉の内部にも熊野の密偵が潜り込んでいるってことかな? と思ったら、どうやら自分で直接いろいろ動いているようです。春には京にいたんだそうな。
『あたら夜の月と花とを同じくは あはれ 知れらむ人に見せばや』
明けるのが惜しいほど素晴らしい今宵の月と花とを、どうせなら情趣をよく理解する人に見せたいものだ──という意味ですね。 望美ちゃんが春頃すでに源氏軍にいたことを知って、当時自分も京にいたから、それなら一緒に花見がしたかった、と。 ヒノエ君の流し目と口説き文句にもだいぶ慣れてきましたー(笑)
単独で生田の戦端を開いた景時さんを救うために、一ノ谷へ。景時さん、頼朝の密命でも受けたのかもしれませんね。 1周目は一ノ谷から奇襲して、でもそれを平家に読まれていて先生を失ったという経緯があるので、望美ちゃんは一ノ谷ではなく高尾山の崖からの奇襲を提案しました。九郎さんが「ここのような場所から奇襲していれば」と反省していた峻険な崖ですね。
九郎「俺に命を預けていいんだな」 望美「……はい!」
このやりとり好きだなぁ。共に馬で奇襲すると主張する望美ちゃん、凛々しいです。 九郎さんは驚きつつも望美ちゃんの進言を容れ、見事奇襲は成功。九郎さんの絆の関突破です。
「この勝利はお前のおかげだ。礼を言う。お前は武運を司る比売神(ひめがみ)かもしれないな」
「龍神の神子? おとぎ話の中の存在じゃないのか?」とか言ってたくせに(笑) 比売神は姫神、つまり女神のことですね。うっわ恥ずかしい台詞。誉め言葉ひとつ口にするだけで真っ赤になるのに、どうしてこういう台詞をさらっと言うかね。どうもそのあたりの感覚がよく分かりません。が、落差がツボに入るので良し。
生田神社へ到着し、景時さんと合流。 戦線に残っている平家の武将は平知盛。彼と刃を交えて退け、平家の軍勢も退いていったので、ひとまずこれで一件落着かと思いきや、九郎さんはさらに追撃をすると言います。 福原を落とせというのが鎌倉殿の命令である以上、平家が福原を捨てるのを見定めるまで軍を退けないのです。 しかし、安徳帝と三種の神器帝はすでに沖へ逃亡してしまい、大輪田泊から平家の船が次々と離岸していくのを、源氏勢はあと一歩のところで見送ったのでした。
こうして福原の合戦は終結。形としては源氏の勝ちですが、平家は早々に退却したことによって戦力を温存しています。大勢まで決まったわけではなく、いずれ再び激突するのは必至。
いや、でも、いいのです。1周目と違って先生が無事でいてくれるし。九郎さんが「そんなだから放っておけないんだ」なんて言ってくれたしね。つかアンタに言われたくないわ! 九郎さんが一番放っておけないタイプだよ! もし現代人だったらキャッチセールスに誰よりも引っかかるに違いないよ!(笑) それでもなお、会話の端々から垣間見える、自律心と向上心の強いところがまた格好良いね、九郎さん。
京へと帰還したあと、平家を福原から追い払った恰好になった九郎さんの評判はますます高まって、ついに後白河院が「官位を授ける」と言い出しました。 官位……。 これって、もしかしなくても史実をモチーフにした頼朝との決別フラグ? 史実では、功労華々しい義経が謀反人として追われて自刃せざるを得ない苦境に陥った原因のひとつに、『勝手に官位を受けて頼朝の警戒心を煽った』というのが挙げられるんでしたよね。 『武家の官職には頼朝の許しを得て就く』という取り決めがあるのに、許可を得ずに貴族の役職である検非違使・左衛門少尉に就いてしまったから、規律整然たる武家政権の樹立を目指す頼朝の不興を買い、やがて頼朝は「義経に源氏棟梁の座を奪われるのではないか」と疑念を抱くようになったのだ……というような記述を目にした記憶があります。
検非違使尉、大夫判官。従五位下。九郎さんが後白河院から賜る官位です。 たしかにきらびやかな冠には違いないですね。今まで「坂東の田舎侍」と都人に蔑まれていた源氏にしてみれば、九郎さんが官位を賜るということはすなわち源氏の働きが認められたということで、苦労が報われる心地がするのでしょう。 ずっと一緒に戦ってきた兵士たちのそういう気持ちを、九郎さんが汲まないはずもなく。おまけにハクがつくし、この地位ならば内裏に入ることを許される殿上人なわけですから、仕事もしやすいし……。一見いいことづくめなんですよね、本当に。 ヒノエ君らが賛成する中で、歴史を知っている譲君は官位を賜ることに反対します。頼朝の懐刀と言われる景時さんも、直接言葉にはしないものの、気掛かりがありそうな様子。 結局、弁慶さんの「法皇の機嫌を損ねることもよくない」という一言で落着となってしまったのですが……なんだか猛烈によくない予感がいたしますよ。
そして、案の定でした。
『源氏の賞罰はすべて鎌倉殿にしたがう定め。許しを得ずに官位を授かるは規律を乱し、主君を蔑ろにする行いである』
九郎さん反逆の嫌疑すらかけられて、牢に幽閉されてしまったのです。 誰も面会を許されない中、許婚という方便が効いて、特別扱いで面会を許された望美ちゃん。
ちゃんと兄上にお会いできればわかってもらえるはずだ。 でなければ自分は源氏に捨てられたことになる。 自分は源氏や兄上に必要のない人間なのか? 兄上のためにと信じて戦ってきたのは、無駄だったというのか?
薄暗い石牢の中に独りきりで、九郎さんが何度も胸中で反芻したに違いない、血を吐くような想い。 全てを受け止めて、望美ちゃんは軋みを上げる彼の心をやんわりと包み込みます。
「あまり俺を甘やかさないでくれるか。お前に頼らないと誓ったのに、みっともないとこ見せたな」
少し冷静さを取り戻した九郎さんから託されたのは、一綴りの書状。これを鎌倉にいる兄上に渡してくれ、と。 九郎さんの命を繋ぐ、一縷の希望。望美ちゃんに託された願い……。 世に有名な『腰越状』ですね。 もうここらへん、切なくって言葉が出てきませんでした。
焦燥感と共に鎌倉へ直行する望美ちゃんでしたが、面会の許しがおりず、じりじりと日数ばかりが過ぎていき、やがて彼女の元へもたらされたのは最悪の結末。
九郎さんが、謀反人として処刑された──。
追い打ちをかけるように、九郎さんと行動を共にしていた面々には追っ手が差し向けられました。嘆く時間も、憤る時間も与えられずに。九郎さんがあれほど慕っていた『兄上』の命令によって。
そう、やはり頼朝の許可なく官位を受け取ったのは過ちだったのです。 炎に包まれた京邸での別離を拒絶して、時空を遡って鵯越の奇襲を成功させたことが、こんな途方もない悲劇を生み出すなんて……。 九郎さんを、また救えなかった。彼の隣に居場所を求めて、共に生きていける未来を望んで時空を超えたのに。 けれど望美ちゃんは絶望したりはしませんでした。
望美「この悲劇を知っていれば、時空を超えて-運命を変えられる……っ!」
悲哀の涙で頬を濡らしているだろうに、決して打ち砕かれない強さを持って再び運命に挑む望美ちゃん。 しなやかで真っ直ぐな望美ちゃん、大好きだぁぁぁ!
以上、このレポは10日以上かけてやっと書き上げたのですが、改めて読み返してみると、私の中では九郎×望美が基本カップリングとして定着しているのが一目瞭然で、どうにも苦笑してしまいました。脳内補正機能、働き過ぎですヨ。 でもねぇ、九郎さんと望美ちゃん、本当にお似合いだと思うんです。二人とも単品でも大好きだけど、くっついてくれるとなお嬉しいなー。 九郎×望美の妄想なら次々と浮かぶあたり、けっこう症状は重いのかも(笑) 例えば……売り言葉に買い言葉で派手な喧嘩したり、意地っ張りと鈍感同士でしょっちゅう気持ちがすれ違ったり、でもお互い無自覚に赤面台詞を盛大に言い合って、我に返って二人して耳まで真っ赤になったりとか。朔ちゃんや白龍がそんな二人を笑って眺めてるといいなぁ。それでもって将臣君は九郎さんをからかったりけしかけたり、二人の兄貴分ポジションで。 九郎さんは自分の気持ちを自覚するのが相当遅いだろうけど(決めつけ)、いったん自覚を持って、想いが通ったら、かなり独占欲が強く顔を出すと思います。口下手だからそれを上手く言い表せなくて、むうっと不機嫌になる姿が目の前に浮かぶようだよ……。で、つい強い口調で望美ちゃんに苦情を言うもんだから、望美ちゃんもカチンときちゃったりして、「馬鹿か、お前は!」「九郎さんの石頭! もういいっ!」とかいう喧嘩になって──(エンドレス妄想)
そんな平和な日々を送る二人を、早く見たいものですね。
>>>次回へ続く
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