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(後半に多少ネタバレがあります。)
先週の5月20日土曜日に今年前半の話題作 『ダヴィンチ・コード』が全世界で一斉に封切られた。
というわけで、 土曜の深夜にさっそく観に行ったわけだが、 友人の誘いで六本木ヒルズで観ることとなった。
写真は、闇に浮かび上がる 妖艶な巨塔「六本木ヒルズ森タワー」
映画館は「森タワー」とは別の建物にある。 下左の写真は「森タワー」前の案内板。 左側の一番下「ヒルサイド」の隣に「シネマ」とある。 (読めないかも…) そちらの方向へ歩いていくと、 下右の写真の建物が見える。これが映画館。 | |
左上写真は、映画館から見上げた「森タワー」。左下は、「ダヴィンチ・コード」の看板。 映画に合わせて「ダヴィンチ・コード展」もやっていた。
右上は映画館の入口の写真。右下は館内にある通路をパシャリ。 なんだか、スターウォーズに出てきそうな雰囲気でなかなかよい感じである。
六本木ヒルズに来ると通常のことであるが、 とてもカタチや色彩を刺激される造形が多くて、 思わず観光客ばりに写真を撮ってしまうワタクシでした。
(これより以下、「ダヴィンチ・コード」のネタバレ多少あり)
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さて、話がだいぶ逸れてしまったが、映画の話。
封切前から、世界各国で物議を醸しだしている『ダヴィンチ・コード』。 特にアジア各国のカトリック団体が、上映中止などのデモを繰り広げているが、 ヨーロッパは比較的冷静に受け止めてる模様。
カトリック教会の総本山・バチカン市国では、映画非難をしつつも、 映画は映画、真実は真実というスタンスで構えている。
映画内で陰謀的に描かれた実在する組織『オプス・デイ』も同様で、 非難をしつつも「キリスト教の真実を伝えるいい機会」とコメントしているらしい。
バチカンお膝元のイタリアでは、910の映画館で過去最高の売り上げを記録した。 その他の国でも、カトリック団体からの抗議はありつつも、 国としてはあくまで娯楽と捉えて、冷静に観賞している様子である。
日本でも話題を呼んでいる様子だが、宗教の自由の国である日本では、 当然ながら第三者的な視点でしか捉えてないので、一部団体の抗議はあるものの、 純粋に単なる娯楽映画のブームとして盛り上がっているのが現状だ。
ちなみに、全世界でこの週末3日間の売り上げは、 史上2位の約250億円を記録したとのこと。
ちなみにワタシは、昨年に小説を読んだと同時に、 トム・ハンクス主演での映画化の話を聞き、愉しみにしていたことは確かだが、 あくまで「小説は映画より勝る」として観賞に望んだ。
…で、観賞したわけだが、やっぱりそれは今回もそうだった。 やはり映画は小説にはかなわない。 やはりかなり省略した感が拭えないのだ。でもそれは確信犯で観たので別にいい。
それを踏まえた上で、 観賞後の感想を整理してみると、以下のような感じだ。
1.アナグラムについて描写が足りない。
2.モナリザ等の絵画の謎ネタも言及が足りない。
3.マグダラのマリアについても言及が足りない。
…の3つだ。
この作品は、A.実際の歴史ネタの面白さと B.アナグラムなどの謎解きの魅力、 そしてC.先の読めないストーリーの 3つの魅力が合わさった作品だと思う。
しかし映画はC.先の読めないストーリーに注力して創られている。 限られた中での構成上仕方がない事だと思うのだが、単にストーリーだけだったら、 ワタシは普通に楽しい娯楽映画に過ぎないと思うのだ。 もちろんストーリーだけでも充分に面白い作品なののだが、 これだけの世界的大ベストセラーとなった魅力は上記3つのシナジー効果だ。
たとえば、1のアナグラム。 映画の冒頭のルーブル美術館で繰り広げられるアナグラム解読シーンだが、 アナグラムの文字そのものを画面に大写しにして見せてもよかった。
そして、2のダヴィンチ絵画の謎ネタ。絵が好きなワタシとしては、 もっと色々と言及してほしかった。モナリザなんて秘密だらけなのに…。 3のマグダラのマリアもそうである。 歴史フェチの友人曰く、これならテレビの特集を観ている方がいい、とのこと。
・・・しかし、 これらはあくまでストーリーに深みをもたせるためのネタなので、 まあ、省略されたとしても100歩ゆずって目をつむるが、 これだけは省略してはいけないという肝心なことが1つ抜けている。
それが下記の4つめの感想。
4.何故ダヴィンチがそんなことをしたのか?
これである。これが殆ど表現されていない。 だって映画のタイトルが『ダヴィンチ・コード』なんだから!
ダヴィンチが何故にそういうメッセージを、 皆に分からないように絵に秘めて伝えようとしたか?
これってポイントだと思うんですけどねー。 映画でさらっと言及してたとは思うんですが、多分印象に残らない。 もっとダヴィンチを意識させながら、ストーリー展開させないと、 正直、一本筋が通った感じがしないのだ。
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トム・ハンクス(ロバート・ラングドン役)、オドレイ・トトゥ(ソフィー・ヌヴー役)、 ジャン・レノ(ファーシュ刑事役)という豪華な配役陣なので、 映画的につまらないことはないが、『ダヴィンチ・コード』という物語の魅力を 存分に表現できているかというと疑問が残るというのが正直なところか。
しかし昨年、この小説を読んでいて、 どうしてもヴィジュアルが見たいと思うシーンが幾つもあった。 映画によって、小説を読みながら見たかった絵を目の当たりに出来たことで、 ワタシはある程度満足している。あくまで原作小説の補完として観るのが、 原作ファンにとってはいい観賞スタンスかもしれません。
060522 taichi
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