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- 2005年04月19日(火)
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- 終身雇用支持8割。ぬるい日本人のノスタルジー
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最近の能力主義・成果主義で削られ疲れた日本人の、 終身雇用制や年功序列制など、昔良き日の制度に想いを馳せる ぬるい意識が高まっているとのこと。
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(4月11日の毎日新聞より要約) 終身雇用や年功序列賃金という日本型の雇用慣行を支持する人の割合が 高まっていることが、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が 昨年8〜9月に実施したアンケートでわかった。 終身雇用の支持率は78%、年功序列の支持率は66.7%と、 99年に調査を始めてから過去最高に。
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【「終身雇用」の支持率】
全体/78%(01年+1.8ポイント)(99年+5.7ポイント)
《特に多い層》
男性40代/78.7%(01年+7.7ポイント)
バブル期入社のファミリー層。ベースが終身雇用。 「家族も持っているし、ある程度役職に就いてるし、 今更能力・成果主義にされても困る。 住宅ローンも利率アップ、教育費もかさんでいるわけで、 己の出世よりライフプランを立てられる「安定」こそ一番なわけだ。」
女性30代/77.4%(01年+5.1ポイント)
結婚後も共稼ぎのDINKS(子無し共稼ぎ層)&DISKS(幼児持ちの共稼ぎ層)。 「30になると「そろそろ」的な目で見られるけど、 私だってずっと働きたい!夫の収入だけでは家計のやり繰り大変。 子育てに追われるし夫は多忙で先行き不安な日々。 夫をずっと働かせてくれ!子持ちだってパートで働かせてくれ!」
【「年功序列」の支持率】
全体/66.7%(01年+4.4ポイント)
《特に多い層》
男性50代/68.9%(01年+9.7ポイント)
高度経済成長時代、日本型雇用慣行ど真ん中の団塊世代層。 「当たり前だ!若い時にバリバリ働いてきたのは、こんな未来のためじゃねえ! 子供は大きくなって、高校だ大学だと教育費もバカにならない。 住宅だって年を経て段階的に上がっていく時代に買っちまったし! 50になって何で給料が下がるんだ!友達はリストラされたし…」
女性30代/64.5%(01年+9.1ポイント)
上記「終身雇用」同様に、結婚したからには夫の将来が ある程度見えて、気持ち的に安心したいという事だろう。
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(4月11日毎日新聞要約) さらに、就社意識が乏しく、能力主義を志向するとされる若い世代でも、 日本型の雇用慣行を見直す考え方が広がっている。
【「終身雇用」について20代の回答】
男性/64.2%(01年+5.8ポイント) 女性/66.4%(01年ー2.3ポイント)
無競争時代を生きている層。 「やっぱー、安定してた方がいいんじゃん? 転職とか面倒くさそーだし、先輩とか大変だっていってたし。 親父とか見てるとーやっぱー安定が一番だなって思うしー」
【「年功序列」について20代の回答】
女性/60.6%(01年+1.0ポイント)
やはり事務職が多いせいか、結婚準備期間と捉えているのか 20代でも60%を超えていて、男性より能力主義への意識が低い。
男性/51.5%(01年+4.1ポイント)
→なんと50%を超えた。20代の2人に1人は、 「なんで能力の低いジジイの給料が高くて、デキる若い奴の給料が低いんだ!」 と思わなくなっているのだ。年々昇給が保障された方がいいと。 これも無競争世代ならではの傾向か?
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・・・と、 ざっと見てきて思うこと。
こんな結果、当たり前の意識確認にすぎない。
要するに、各世代において、能力主義による
「勝ち組」と「負け組」 の比率を表しているか、もしくは
「やる気のある奴」と「逃げ腰の奴」 の力配分を的確に表しているだけだ。
そう考えると、至極妥当な結果だろう。
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高度経済成長時代では、 「終身雇用」「年功序列」で良かったのである。
未だ日本人の意識のベースにはそれがある。 「売れば儲かる」時代においては、 与えられた業務を正確に迅速にこなす人材が、安定して長く 企業に定着することこそ、経営的には合理的であった。 能力差が出る程の創造的業務は無かったのだ。 そういう社会の中で、ある程度の企業でも 高収益を上げられた時代が前提であるならば、 「終身雇用」「年功序列」は、被雇用者にとって 安定が保障される最高のシステムなのだ。 経営側と労働側が相互利益を享受する仕組みであった。
しかし、そうでない時代に突入した。 経営側は能力主義、成果主義を採用し始めて、 人件費などの経費節減をしなければならなくなった。
もともと「デキない奴」は問題外だが、 「フツーにデキた奴」にとっては、 年功序列時代には約束されていたはずの将来収入の分を、 一部の「結構デキる奴」に奪われていったも同然なのだ。
しかし、能力主義社会だからといって、 「デキる奴」になりさえすれば、高収入を得られるわけではない。
縮小市場においては、有限の顧客を奪い合うビジネスである。 「デキる奴」でも「超デキる奴」から収入を奪われるのだ。 「デキる奴」でも、それが負け組企業の「デキる奴」だったら、 勝ち組企業の「デキない奴」から収入を奪われる時代なのだ。
さらに企業内相対評価であった能力主義に加えて、 業界内相対評価となる成果主義が加味されていく。
これら能力主義や成果主義は、評価のプロセスが間違うと、 逆効果になる。単なる「数字マシーン」的な人材だけが育ち、 創造性が育たなくなるのが典型的な例だ。
こういった、誤った成果主義の果てに腐った人達や、 高度成長期の制度が当たり前と感じている世代やそのJr世代が、 「終身雇用」「年功序列」万歳と回答しているのだろうか?
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終身雇用支持78%、年功序列支持66.7%という数字が 示しているものは何か?
多少は時代を反映はしているものの、 女性の意識は変わってないのではないか? いずれも30代という結婚後の大変な時期を過ごす方々の 「終身雇用」「年功序列」支持が高くなっているという。 これは自身も勤めながらも、どちらかというと夫と合わせた 家族の将来への不安を裏返しているだけであろう。 その意味では、いつの時代も変わらない。
男性は 「終身雇用」支持は40代、「年功序列」支持は50代が多い。 若くしてバブルの甘い汁を最も吸いながら、 重い生計を抱えたリストラ危機世代の40代に、 長年勤め上げて来たのにもかかわらず、 収入が減った団塊の50代というわけである。 そしてその子供の20代も影響を受けているのだ。
いずれにしても、日本のサラリーマンは 遠き良き日のノスタルジーに思いを馳せてしまっている。
いや、その前に思うのは日本人の国民性。 能力や成果という個人主義よりも、 部署、会社、家庭という団体単位で、 「皆が幸せにならなきゃ自分も幸せになれない」 と思ってしまう風土の現れなんだろうと思う。
勤め人としては気持ちわかるよ。わかるけど、 ぬるいなー。昔の良き日はもう帰ってこないんだぞ。
高年齢へと人口ボリュームゾーンがシフトしていく社会で、 終身雇用制・年功序列制をやってたら、企業経営者は 膨れるばかりの人件費に頭を悩ますだろう。 会社がつぶれりゃ、終身雇用もクソもないのだ。
昔を想う気持ちは分かるが、 そろそろ切り替えないと!
050419 taichi
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