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きれいね。 毎年のことだけど。
咲いているのもきれいだけど、 散っているところが一番きれいなんだよな。 そんな花は桜ぐらいなもんだろ。
でもやっぱ、ずっと咲いててほしいな。 きれいだけど、散ってほしくない。散っているのはやっぱ悲しいよ。 なんで散んなきゃいけないのよって感じ。
男にとっては、散ってるところがそそるんだよね。 完璧に美しさを纏っていたものが、崩れていく様がなんとも…
なにそれ?
だってさ、まるでベッドで女が…アーハイハイそういうことねェ〜もういいよスケベ。
言葉にするとしたら「うつくなしい」って感じだな。
はあ?なんか「美しくない」って聞こえるけど?
いや、「美しい」と「悲しい」を混ぜたんだよ。
かなしい?ん?あ〜そうね〜、なんか切なくて、かなしいかんじ。
だから「うつくなしい」。
「うつかなしい」の方がいいんじゃない?
それじゃ「鬱で悲しい」って聞こえるぞ。
もうどっちでもいいわ。 あ〜なんかでもこの季節になるとホント悲しいな〜。 なんにもやる気なくなるし、少々のことに頭くるし。
毎年お前は、雪が溶けて桜が散ると 心身ともに堕ちていく変な奴だよな。俺は心配だわ。
ふふ、あたし桜かも。
何云ってんだ?、ま〜確かにお前は桜が散ると、 まるで居なくなったかのように生命エネルギーを感じなくなるよ。 んで、葉っぱが青く繁ってくると再び現れる。
そんで、さくらんぼ落としたら 秋に再び消えてしまう…ウフフ。
ウフフじゃなくて、その瞬間芸みたいな生き方、 なんとかしたほうがいいよ。
いやよ。 とにかく桜の花はずっと咲いていたいのよ。 散りたくないのよ。散ってるとこが美しいなんて男の勝手。 散るなんて悲しいだけだわ。
いや、散るからこそキレイなんだ。 だって同じピンクの花なんて他にいっぱいあるだろ。 でも、さくらがこれだけ絶大な人気なのは、 儚くて美しい散り様があるからだろ。 一年中ピンクだったら、風俗のピンク看板と一緒だろ。
おかしいでしょ!そのたとえ!
あ〜すまんすまん、ふと思いついて云ってみたくなっただけ。 でもさ、一年中咲いてたら、なんか生き物じゃないみたいで 親近感湧かなくない?一年の中であの一週間だけ咲くために桜は、 残りの日々を過ごしてるんだぜ。
なんか、その辺にいる一般家庭みたいね。
そうそう。花の中でもさ、なんだかすごく人間っぽいんだよな。
てゆか、とりわけ日本人っぽいんじゃない?さくらって。 一年一回の家族旅行のためにお父さんは働くみたいな。 なんか、やだー、やっぱり切ないよ。
まーでも、一年のなかで一週間だけって考えると確かに切ない。 でもさー、俺らの物差しだとそうだけど、桜は違うんじゃない? もっと長い目でみると、桜は毎年毎年、何百年と安定してそれを 繰り返してきてるんだぜ。それこそ「花の色は移りにけりないたづらに」と 小野小町が詠んでいるときも、今と変わらないライフサイクルだったわけだ。 桜にとっちゃ一年なんて、俺らの一週間みたいなもんだろ。
「花の命ははかない」というより、したたかなのね。 さくらにとって、一年というのは決して長くなくて、 さくら的にはマイペースで花を咲かせているってことか。
あとさ、もうひとつ、 楽ありゃ苦ありでさ、散るから咲けるわけで、 青葉や枯葉の時があるから、花は美しいんだよ。 人間も楽ばかりだと、楽を楽と感じなくなるからね。 すべてのものは「波」の中で生きているんだと思う。
瞬間だけ切り取って、 その瞬間に有ったものが無くなったからって、 ギャーギャー騒いで 変なカロリーつかうなってことね。
ふと落ち込みそうになった時は、 一歩引いて自分の「波」を見るんだ。 その時、波の低い部分の一点を見るんじゃなくて、 高低混ざった「波」自体が、高いとこにあるのか低いままなのか…、 気にするとしたら、そっちだ。 波がずっと低いままだったらヤバい。
じゃー今あたし、 鬱になりそうな予感があるけど、 決してヤバくないのね?
そうそう。 さっき自分は桜だって云ったけど、その通り、 桜のように生きればいいのさ。 百年千年、桜は変わらずマイペースに生きてる。 一時散ろうが枯れようが、必ず毎春、 花を咲かしに帰ってくるんだから。
※まだ早いのに、なぜ「桜」? と思った方、
それはですね、
ケツメイシの「さくら」を 超蛇ロテで聞いてたからです!!超最高! ストリングスの音がたまらないっ!
以上。
050224 taichi
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AIR〜the pulp essay〜_ハラタイチ
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