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「ところで、奥さんはここで働いていない時は何をしてるの?」
カウンター越しに、常連客が聞いた。 きょとんとした顔をして返答に窮していたら、常連客は重ねて 私に聞いた。
「よそで働いているの?」
「専業主婦してま〜す」
にっこり、明るくお返事した。
「へ〜、で、家で何をしてるの?暇でしょ?」
そうなんだよね。 専業主婦って、暇してると思われてるんだよね。
「暇なこと、ないですって」
午後1時過ぎまで、夫は家にいる。 その間、「うるさい」からと掃除機も食器洗いも禁止だ。
夫が仕事に出てから、昼食の後かたづけをしてワンコの散歩して、 掃除して、夕食の買い出しをしたら、 ほら、もうすでにあたりは暗い。
散り散りに帰ってくる娘たちや夫に、それぞれ夕食を提供するでしょ。 たいてい、3度、夕食を出す。
そうすっと、あっという間に夜中よ。
ほら、忙しいじゃないの。
そう説明すると、常連客は感心して言った。
「ほんまや、忙しそうやな〜」
おそるべし、専業主婦のイメージ。
昼の連ドラを見て、寝っ転がってお菓子を食べながら時間をつぶす イメージがあるのだと確信した。
そんな話を横で聞いていた、バイトの奈美ちゃん(仮名)は、 意外そうな顔で言いました。
「え?マスターって掃除機や食器洗いの音がイヤだって言うんですか?」
どうやら、夫は店で『ワシは妻の尻に敷かれている』と言ってるみたいだ。
『うちの妻は気が強い。おかーちゃんが恐い』と。
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