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明日 咲く花
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2005年11月25日(金)  最初の試練

長女が泣いた。


気が強く見える人間ほど、実は精神的に弱く泣き虫だと思う。
夫も、ひどく泣き虫。
感情の起伏が激しい人は簡単に泣くのだと、私的に認識している。


長女が泣いた。

携帯に電話がかかってきた。
来春から勤める予定の会社・人事部からの電話だ。
来年の3月、新入社員の研修会が東京で開催される。
前回の説明会で告知された日時が変更になったので、その連絡だ。


それを聞いて、長女が泣いた。

その日は、ダンスの発表会の日だった。



たかがダンス、されどダンス。



長女にとって、ダンスは最も重要なものなのだ。


大学に入ってすぐ、ダンスを習い始めた。
気まぐれな長女に似合わず、長続きしたダンス。

ほら、安室とかが歌ってる後ろで踊る人たちみたいなダンス。


そこのダンススタジオは、年に一度発表会をする。
並の歌手がコンサート(最近はライブって言うんだってね)をする
くらいの大きいホールだ。
そのために、生徒たちは一生懸命練習をする。



年に一度のダンス発表会と、来春から勤める会社の研修日が重なった。

ダブルブッキング。



長女が泣いた。


あの、気の強いヤツが。
あの、「なめられたらあかん」といつもイキッテルヤツが。



たぶんこれが最後の発表会。
心残りがないように、週に4回もレッスンを入れていたのだ。
レッスン料を支払うためにバイトしている状態だ。


ここのところの長女は、ダンスレッスンのために毎日暮らしているのだ。


泣いても、どうしようもないよな〜。


長女の友達に、
「そんなん、何の躊躇もなく会社をとるやろ」と説教された。

説教した友達は、長女を気の毒に思ったのか夕食をおごってくれた。


ダンス仲間の男性に、
「オレやったら、当日急病になるか、親戚を殺すな」と言われた。

発表会当日、インフルエンザとか祖母の急死とかで研修をばっくれるのだ。



長女は知っている。
自分の趣味より、これから勤める会社を優先すべきだと。



「きっと、会社に勤めてからも、嫌な事や悲しい事や辛い事、悔しい事が
 たくさん訪れると思う。これが最初の辛い事やな」



肩を落として、そうつぶやいた長女。


かわいそうだけど、しゃ〜ないな〜。
しばらくずっと長女の愚痴が続くだろうけど、辛抱強く聞いてやろう。





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「そうだったっけ?全然覚えてない」と長女。


私は覚えているよ。
ダブルの悲しみで涙に暮れる次女の姿は、忘れられない。


次女のために、打ち上げを延期して待っていてくれたクラスメイトに感謝。



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