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家にお客を招いて飲むと、必ず夫が持ち出す写真がある。
遠い昔、北海道の氷祭りに参加して、賞をもらった時の写真だ。
昨夜も、お決まりのようにお客に言った。
「なー、ワシが氷を彫った写真、見せたっけ?」
昨夜のお客は、何度も訪問履歴がある。 見ていないわけがない。
なのに、「いいや、見てないよ」と、客はしらを切る。
見たでしょ? 見たって。 酔っぱらって、流して見ていたから記憶に残ってないんだ。 でも、見たのは確実。
「見た」と言えっ。
「そうか、そうか、見てないか♪」
夫は、いそいそと写真を取りに行く。 嬉しげにアルバムを抱えてきた。
「おーい、いい写真もあったぞ。あの頃のお前はかわいかったな〜」
私の子どもの頃のアルバムまで持ってきた。 そんなん、他人が見たっておもろないし。 人の迷惑顧みずやな。(ー_ーメ)
「お、この写真、かわいいやん」 「こんなにかわいかったのにな〜(まだ何か言いたげな顔)」
二十才前後の写真を見ては、思い出にふけり昔を懐かしむ夫だ。 そして、現在置かれている夫の立場の弱小さを悲しんでいる。
なんですか、綾小路きみまろみたいなことを言ってます。
きみまろの漫談だと、「そして40年…」と繋げるところだけど、 あいにくそこまで糟糠ではないが。
なんだかね〜、ここ数年、夫は昔を懐かしむことが多いのだよ〜。 まだ過去の思い出に生きるほどの年齢じゃないでしょーに。
きっと、現在の暮らしのほとんどがイヤになってるものと思われる。
そんな夫は、じーさんぽくってとってもイヤ。
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