道はとても空いていた。 初めて乗った彼の助手席は、何故だか少し懐かしい感じがして とても、落ち着いた気持ちになる。
流れるBGMは、数年前に流行った曲。 それが、ふたりの世代が同じことを伝えていた。
いろんな話をしたね。 なんでこんなに楽しいんだろう? 嬉しいんだろう?
彼が笑うと嬉しくて。 でも、まだ緊張気味のふたりは時々黙っては、話題を探す。 …話し始めが重なる。譲り合う。彼が話す。 ささやかな、穏やかな時。
手を繋いだ。大きくてごつごつした暖かい手。 その温もりだけで、いいような気がした。 いつまでも、家に着かなければいいのに、そう思った。
恋の感覚が思い出せないのに 私は恋をしているの?
ひとりの時、苦しいくらいに、彼のことを考える。
|