ボクと一緒に散歩をしたおかげでアキコもすっかり冴えた女に戻った。 アキコが冴えていても、冴えない時とあまり変わらないように見えるが 「冴えまくりだ」と自分で言っていたので、おそらく冴えているのだろ うと思う。
ところで最近ボクがお昼寝をしていると、どこからか爽やかな香りが風 に乗ってやってくるのを感じていた。 どこから飛んでくる香りだろうと思っていたら、近くのお地蔵様の横に 生えている山椒の木に花が咲いていたのである。
山椒の花は(アキコと同じで)冴えない花だが、ツンとするような何と も言えない爽やかな香りがする、(ボクと同じ)ステキな花なのだ。 ボクの庭からだいぶ離れた所に咲いているのに、お昼寝をするボクにも 良い香りがわかるくらい、良い香りを放っているのだ。
ボクが良い香りに酔っていると隣りにいたアキコが「この季節は山椒の 葉っぱを乗せたタケノコご飯がいいね」と独り言を言った。 アキコが冴えているというのは食欲があるということなのだろうか。
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