今日アキコが変な草を左手に、カメラを右手に持って庭をウロウロしてい た。何やらこの植物の写真を撮るのに苦労していたらしい。 「ピントが合わない」とブツブツ言いながら、アキコは何十分もウロウロ していた。
これはカラスビシャクという植物の花らしい。 ヒシャクに形が似ていて、人が使うにしては小さいのでカラスが使うヒシ ャクということでこんな名前がついているらしい。
いつかボクが見たウラシマソウに似て、長いヒゲのようなものがベロンと 不気味に伸びていたが、真ん中のところが紫色なのをのぞけば全体が緑色 なのでそれほど不気味ではなかった。
写真を撮り終わったアキコがカメラを置いた後も左手にカラスビシャクを 持ったままだったので、ボクはカラスビシャクを使って水を汲んで見せる のだろうかと期待した。 しかしアキコは水など汲まず、カラスビシャクの先でボクの鼻の穴をコシ ョコショくすぐったのである。
ボクはくすぐられないように逃げ回ったので何とかクシャミをせずに済ん だが、ボクもカラスビシャクも大変迷惑をした。 植物でくだらない遊びをするのはやめてほしいものである。
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